tv trend 001-PB1-4 ソニーは2017年夏までに画像が鮮明な有機ELテレビの世界展開を始める。足元の収益を支える高精細な「4K」対応の液晶テレビは販売好調で市場に普及したため、次世代の高級テレビの目玉となる基幹製品が必要と判断した。07年に世界で初めて小型有機ELテレビを発売したソニーによる大型機種の本格展開で、今後の普及に弾みがつきそうだ。

 テレビ用の表示装置に自ら発光する有機材料を使うと、明暗をくっきり表現でき、色が鮮明で表示の切り替えも速いとされる。だが、現在の主流は依然、液晶パネルで、韓国LG電子やパナソニックが手掛ける有機ELテレビの出荷は少量にとどまる。



 ソニーは17年春から夏にかけ欧州や米国、中国で順次発売する。基幹部品であるパネルは韓国LGディスプレーから調達する。65型が中心とみられ、画像処理に独自の技術を使う。価格は未定だが日本円換算で100万円前後になるとみられる。国内発売は海外の販売状況をみて判断する。

 同型の実勢売価が30万~40万円の液晶テレビに比べて高いものの、家庭用ゲーム機「プレイステーション」などとの相乗効果が大きそうだ。ゲーム愛好家は色鮮やかな画像や遅延のない描写を楽しめるテレビを求めているためだ。

 ソニーのテレビ事業は15年3月期に11期ぶりに黒字化した。比較的価格の高い4K対応の液晶テレビの販売が好調に推移している。ただ国内のテレビ市場では4Kの出荷台数比率が3割を超えており、価格も緩やかに下落している。製品ラインアップ上も高級品は欠かせず、有機ELを次世代の上位機と位置付けてテレビ全体の販売を底上げする効果を狙う。

 ソニーは07年に11型の有機ELテレビを発売したが、国内は10年に販売を中止。海外も在庫が尽きた時点で販売を終了していた。ただ当時は液晶に比べた画像の鮮やかさが目を引き、次世代テレビは有機ELと消費者に強く印象づけた。技術をリードしていたソニーの再参入は有機ELテレビ市場を刺激する可能性もありそうだ。

 有機ELテレビはテレビ市場に占める比率が1%程度(金額ベース)にすぎず、シェアの大半をLGが握る。パナソニックが15年に欧州で65型を約120万円で発売し、17年4月にも国内で発売して東南アジアなどに広げる計画。東芝も開発を急いでいる。韓国サムスン電子はいったん発売したが、新製品投入を中止している。

 現状では基幹部品のパネルはLGがほぼ市場を独占している。中国の京東方科技集団(BOE)や日本のJOLEDなども中大型有機ELパネルを開発しており、テレビの市場が広がるかはパネルのプレーヤーがどこまで増えるかにも左右されそうだ。