中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)が、筆頭株主の官民ファンド、産業革新機構から最大で750億円の支援を受けることになった。JDIは支援の一部で有機ELパネルを開発しているJOLED(ジェイオーレッド)を子会社化することを決めた。

 JDI、産業革新機構の両者が2016年12月下旬に明らかにした。750億円の支援については、新株予約権付社債(CB)で450億円、返済の優先度が低い劣後債で300億円を調達する。一方、JDIが子会社化するJOLEDは、ソニーとパナソニックの有機EL事業を統合し2015年に発足。JDIと同様、産業革新機構がJOLED株の筆頭株主で、JDIは産業革新機構の保有株75%のうち36%を譲り受け、今の持ち分と合わせて出資比率を51%に引き上げる。

 この750億円の支援とJOLEDの子会社化が発表されると、「JOLED子会社化は、JDI救済のためにひねり出された苦肉の策」(金融筋)といった批判が噴出した。



 それは公的資金を使った産業革新機構の支援は、成長投資に限られており、業績低迷などに苦しむ企業の救済は含まれていないというのが大前提だからだ。

 JDIはスマートフォン向け液晶パネルが売上高のほぼ8割を占めているが、生産能力を高めた韓国勢などとの激しい競争で、2016年3月期まで2期連続で純損益は赤字。主要取引先である米アップルのiPhoneの販売不振の影響もあり、16年春以降は資金繰りが悪化し、産業革新機構に支援を求めていた。だが、本来ならば支援対象とはなり得ない。

 そこで産業革新機構が支援するには「大義名分」が必要だった。それがJOLEDの子会社化だ。両社の統合によって、JDIのスマホ向け液晶パネルに、JOLEDの医療機器向けなどの中大型有機ELが加わることになり、スマホ依存の事業構造から転換するとの成長戦略が示せるようになる。それを名目に支援を可能にしたというわけだ。

 この支援でJDIの信用力を高め、これまで融資を渋ってきた取引銀行から支援を引き出すという狙いもある。事実、取引行も融資を検討せざるを得なくなっているが、救済色が強い支援に対しては「あまりにも露骨」「とってつけたような支援」との声も漏れている。

 ただ、有機ELの開発を巡っては国際競争が激化している。厳しい事業環境に変わりはなく、支援を得たからといってJDIの再建が進むかは見通せない状況だ。