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台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と傘下のシャープはインドで液晶パネル工場を建設する検討に入った。昨年末に中国広東省に世界最大級の工場を建設する計画を発表し、13日には米国で現地生産を検討していると明らかにした。薄型テレビの需要増を見込むインドでも事業を広げる狙い。大消費地に近い各地で大型工場を展開する戦略だが、供給過剰は価格下落を招きかねず、巨額投資にはリスクが潜む。

「世界のテレビをすべて60型にする」。鴻海の郭台銘董事長は最近、社内でこう発言しているという。60型パネルをつくりやすい巨大工場を各地に置き、近隣でテレビを組み立てて低コスト供給する戦略を描く。



 パネル工場の展開は鴻海とシャープが共同出資する堺ディスプレイプロダクト(堺市、SDP)が主体となる。SDPは昨年末には中国の広州市で地元政府と共同で約1兆円を投じて新工場を設置すると発表済み。18年秋の生産開始を目指す。

 広州で蓄積した生産性向上などのノウハウをほかの地域にも生かせば、各地で円滑に新工場を立ち上げられると読む。インドや米国の新工場建設方針も日本国内のパネル製造装置メーカーなど取引先に通達した。

 液晶パネルはSDPのほかシャープが三重県亀山市に基幹工場を持つ。広州新工場に加え、米国、インドと矢継ぎ早に計画検討に入るのは鴻海を巡る経営環境が激変しているためだ。鴻海は16年度に1991年の上場以来初の減収となった。製造を受託する米アップル製品の販売不振が要因。中国の安価な労働力を使って進めてきた大量生産モデルは現地の人件費高騰で採算が苦しくなる。


 このためシャープ買収で獲得した液晶パネルの技術を最大限に活用して中核事業に育てる考え。インドはデジタル家電の市場が広がるうえシャープの認知度が低く、伸びしろが大きいとみた。

 一方、米国は高賃金に加え東アジアに工場が集積する素材を持ち込むためハードルは高い。製造業の国内回帰を訴えるトランプ次期米大統領に配慮する意味合いが濃く、一連の発言にどこまで応じなければいけないのかを慎重に測る方向だ。

 複数の工場を同時に立ち上げる場合、SDPやシャープから派遣する技術者が不足する懸念もある。中国の液晶メーカーが相次ぎ新工場を建設しており、供給過多により収益が確保できるのか不透明な面も否めない。