00foxconn_2鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は22日、シャープの液晶パネルの米国生産を検討していると初めて明らかにした。現地時間20日就任したトランプ米国大統領による製造業の米国回帰政策を受け、保護主義の台頭は不可避と指摘。
ペンシルバニア洲が有力候補で、投資規模は70億米ドル、雇用規模は3万~5万人を見込む。
米国テレビ市場は世界で2番目に大きいと期待感を示し、決定は米国側の条件次第だと話した。23日付経済日報などが報じた。

郭董事長は同日の尾牙(忘年会)で、米国にパネル工場はないが、半導体、自動化(インダストリアル・オートメーション)は進んでいると指摘。昨年買収したシャープが成熟したパネル技術を擁している上、テレビの大型化でパネル輸送の難易度が上昇する中、米国でのパネル工場設置はグッドアイデアだと語った。
自動化を整備すれば、米国の作業員が機械を操作するだけで、メードインUSAが可能だと話した。



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 郭董事長は、ガラス基板最大手の米コーニングから数年前に米国投資を持ち掛けられたほか、大口顧客のアップルも米国投資に同意していると話した。ただ、米国で携帯電話を作れば今より500米ドル高くなるので、消費者は購入するだろうかと述べた。

 郭董事長は、シャープのパネル生産のほか、買収したカナダのソフトウエア大手、スマート・テクノロジーズ(SMT)の米国移転などを検討していると話した。米国でロボットも製造する考えで、アラバマ州から誘致を受けており、税制の優遇措置次第だと話した。

 中国政府が鴻海の米国投資に関心を寄せているとの外電の報道について郭董事長は、中国政府からの圧力はないと強調した。中国、米国だけでなく、日本など世界各地が製造業を重視し、鴻海の投資を望んでいると語った。



米国移転は、用地、人件費、労働力の質、サプライチェーン構築といった課題がある。アップルのサプライヤーは、スマートフォンiPhoneを米国で生産するのは早くても2018年と予測した。米国で生産すれば、コストは14%上昇し、iPhone7の32GB(ギガバイト)の場合、3,500台湾元(約1万2,600円)高くなるとの試算がある。

 情報通信機器大手の神達投資控股(マイタック・ホールディングス)の何継武総経理は、米国の人件費は時給10米ドルとアジアより高いと指摘した。ブルームバークのコラムニスト、アダム・ミンター氏は、中国の労働力はコストが低く、流動率も高いが、米国で熟練工を確保するのは容易ではないと述べた。

 仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は、部品メーカーにとって米国生産はコストに見合わないので、米国でのサプライチェーン構築に3~5年はかかると語った。台湾の業者は、アップルのサプライチェーンは1,000社以上で、原材料、消費財、部品、組み立てまで全てアジアにあるので、米国移転は大仕事だと指摘した。