液晶に代わる次世代ディスプレーとして期待される「有機EL」の開発投資が中国で活発化し、製造工程に必要な装置を手がける京都のメーカーへの注文も増えている。各社はニーズに応じて生産設備を拡張したり、業務提携や製品開発を進めたりして商機をつかもうとしている。

 有機ELは、液晶に比べて色の再現性に優れる上、バックライトが不要なため、パネルを軽量薄型にできるのが特長。折り曲げも可能で、形状を柔軟に変えられる。米アップルが次世代iPhone(アイフォーン)に採用するとの見方があることから、中国で巨額投資が進み、経営再建中のシャープは量産計画を発表した。生産に必要な関連機器の市場も活況を呈し始めた。



 日新電機子会社の日新イオン機器(京都市南区)が製造するイオン注入装置も、その一つだ。液晶や有機ELの部材のガラス基板にイオンを注入して電気の流れをつくり出す工程に用いられており、出荷台数が昨年、前年比で1割伸びた。

 同社は現在、有機ELの開発を進める中韓や台湾のメーカーから幅広く注文を受けている。需要増を受けて昨秋、滋賀事業所(甲賀市)のクリーンルームを約5億円かけて拡張した。先行きについて、日新イオン機器は「有機ELの開発投資は2017年中で終わるのではないか。その後は先行するサムスンのように商用ベースに乗せられるかどうかが、関連市場が伸びる鍵になる」とみる。

 SCREENホールディングス子会社も昨夏、折り曲げられる樹脂基板向けに高粘度材料を塗布する装置を開発。有機ELの試作用途で売り上げを伸ばしている。気泡ができやすい高粘度材料の難点を独自技術で解消した。17年度に24億円の売り上げを見込む。

 また、液晶パネルの製造でフィルムなどを貼り合わせる技術を持つFUK(奈良県)と提携し、有機EL向け製造装置の開発を進めている。SCREENホールディングスの垣内永次社長は「AI(人工知能)やあらゆる機器がインターネットにつながるIoTの発展とともに、次世代ディスプレーの需要は増す」とし、技術開発を加速する構えだ。

 島津製作所も、有機ELの発光材の成膜時に必要な真空状態をつくるターボ分子ポンプの売り上げが、中間決算で前年同期比2ケタ増と好調だ。日本写真印刷は、本社内に来年2月完成する新拠点で、折り曲げられる次世代パネル向けタッチセンサーの開発を急ぐ。