スマートフォン(スマホ)のパネルや飲料容器で、新勢力の台頭が目立つ。従来にない特長を打ち出したり、顧客の利便性を高めたりした素材の採用が進む。スマホ用パネルを巡っては米アップルが有機ELを採用する予定で今後のシェア拡大が見込まれる。従来メーカーはどう迎え撃つのか。注目度の高い素材の動向を追う。

 「すべてのディスプレーの選択肢を準備できるようにする」。2016年12月。液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)の本間充・会長兼最高経営責任者(CEO)は、パナソニックとソニーの有機EL事業統合会社、JOLED(ジェイオーレッド)の子会社化を発表した記者会見で狙いを強調した。



 もともとJDIは省電力技術「LTPS(低温ポリシリコン)」を活用した、スマホなどに使う中小型の液晶に強い。それでも有機EL事業の買収に踏み切ったのは、アップルの動向が背景にある。有機ELは鮮やかな発色が特長で、今年秋に発売する「iPhone(アイフォーン)」では同シリーズとして初めて、有機ELを採用した機種投入が見込まれる。

 調査会社のIHSテクノロジーによるとスマホ用パネルの17年シェアは液晶全体が前年比3ポイント減の73%、省エネ面でも強みを持つ有機ELが3ポイント増の27%。液晶のうち、LTPSは1ポイント減の31%を見込む。18年はLTPSと有機ELが並び、19年に有機ELが5ポイント差の35%で抜くと予測する。

 有機ELは中国製スマホへの採用も進んだため品薄感が強まっており、中小型市場で1強の韓国サムスン電子は8兆ウォン(約8000億円)程度を投じ設備増強に乗り出した。スマホ用換算で2億数千万枚分と従来比5割超増える。京東方科技集団(BOE)など中国勢も新工場を相次ぎ建設する。

 大口価格は上位スマホに多い5.5型の場合、有機ELが液晶(FHD)に比べ約3割高いが、供給増に伴い、さらに価格差は縮まりそうだ。みずほ証券は有機ELの生産能力が18年後半に液晶を抜くと予想する。

 対抗する液晶は性能を高めて迎え撃つ。JDIは画面4辺の縁を極端に狭めたパネルを今年投入する計画で、有機EL事業と並行して液晶の機能向上にも力を入れる。「見た目は有機ELと変わらなくなる」(みずほ証券の中根康夫シニアアナリスト)。プラスチックのフィルムを使った折り曲げられる液晶も開発し、柔軟性に強みを持つ有機ELと比べた価格競争力を一段と高める戦略だ。

 今後は、より大型の薄型テレビへの有機EL採用に関心が集まる。テレビ用55型の場合、有機ELの価格は液晶に比べて3倍強高い。中小型に比べて製造コストの差が大きいためで、今後の主流になるか「まだ分からない」(シャープの戴正呉社長)との声も上がる。大型パネルでの有機ELの一層の普及には、新たな需要喚起策が課題になりそうだ。