パナソニックが不採算の6事業を対象に一段のリストラに踏み切る。2018年3月期に液晶パネルの生産ラインや半導体事業会社の株式の売却を検討するほか、今春にはデジタルカメラなど3つの事業部を解体して人員を減らす。12年に就任した津賀一宏社長は大規模リストラに取り組んで健全な経営を取り戻したが、足元の業績は低迷している。リストラ後の次の一手が見えないパナソニックは、新たな収益源の育成に悩む世界の電機大手の姿を映す。

 パナソニックはプラズマテレビやプラズマパネルから撤退し、鉛蓄電池など多くの事業を売却してきた。今回のリストラは残された赤字事業の最終処理にあたる。
リストラ案は津賀氏の意向を反映し、本社の経営企画部がまとめた。具体的には兵庫県姫路市の液晶パネル工場にある2ラインのうち1ラインで生産を停止し、設備の売却を目指す。住宅用太陽光システム事業は国内工場再編を視野に入れる。半導体はイスラエル企業との合弁生産会社の株売却を含め検討に入った。



 デジタルカメラや電話交換機、光ディスクを手掛ける3つの事業部は解体する。ほかの事業部の傘下に移管して人員も減らし、事業規模を縮小する。昨春時点で37ある事業部のうちリストラ対象の6事業の17年3月期の売上高は計約3800億円と全体の5%を占め、営業損益は計約460億円の赤字になる見通し。

 パナソニックはプラズマテレビ事業の失敗などにより、13年3月期までの2年間で計1兆5千億円超の最終損失を計上した。事業継続も危ぶまれる危機に際し、津賀氏は大規模リストラに取り組んだ。米国と中国でのテレビ生産や国内の個人用スマートフォン事業から撤退。一部の半導体工場や鉛蓄電池事業の売却などを通じ、14年3月期以降は1000億円を超える最終黒字を出す体質に改善した。

 巨艦をうまく操縦した津賀氏は、経営危機に陥ったシャープなどに比べリストラが迅速だと市場には映った。しかし、その後の業績は伸び悩む。同じ領域の事業を続けた結果、幅広い商品で価格競争力が低下し、17年3月期まで2期連続で通期業績を下方修正する事態に追い込まれた。

 今期の最終利益(国際会計基準)見通しは1300億円と前期比2割減。売上高は7兆3500億円と4%減り、13年3月期以来の低水準となる。リストラは固定費を削減しても新しい収益基盤の育成につながらない。不採算部門の改善も先送りしていた。中堅社員からは「社内に停滞感が漂う」との声が聞かれる。



 今回のリストラは事業赤字を一掃し、再成長に向けて取り組む体制を整える狙い。津賀氏が今後の柱と位置付ける自動車、住宅の両分野は堅実な成長が見込める一方、新分野といえない。現状の経営は不採算事業の整理にとどまり、ポートフォリオ(事業構成)の再構築やサービス中心の事業転換に至っていない。

 世界の電機大手はコモディティー(汎用品)化と呼ぶ価格下落に悩まされてきた。それを打開しようと米ゼネラル・エレクトリックは仏アルストムのエネルギー事業を買収し、家電事業を売却。日立製作所はイタリアの鉄道車両製造事業を買収し、リースや物流は連結対象外にした。事業の入れ替えを進める先例を津賀氏は見つめている。

 「17年度は選択と集中を進め、締め切りをもうけて改革に取り組む」。津賀氏は年初に全社員に表明した。創業100年を迎える19年3月期に掲げる連結純利益の目標は2500億円以上。2年で利益を倍増させるには新しい収益源が欠かせない。車載用電池での米テスラとの提携をはじめ、種はまき始めた。リストラだけでない改革をどう進めるかが、日本を代表する老舗企業の先行きを決める。