29日付蘋果日報によると、アップルが下半期にスマートフォン10周年記念モデルとして発売するiPhone8のうち、5.8インチの有機EL(OLED)パネル搭載版は歩留まり率が向上せず、量産が8月にずれ込むと予想されている。
ただ、今年のiPhone8全体の出荷台数は1億台と、例年の7,000万台を超える水準が見込まれており、しかも55%を占めるとみられる有機EL版は単価が高いため、サプライヤーに恩恵をもたらしそうだ。
アップルが発表した2016年サプライヤー上位200社には、鴻海精密工業をはじめ台湾メーカー39社が含まれている。



 サプライヤーは、iPhone8は追加される新機能が多いが、ワイヤレス充電、サブストレート基板(SLP)の歩留まり率が低いと指摘。さらに、有機EL版のカバーガラスのノイズ除去のため、タッチパネルを光学方式から静電容量方式に戻したことで、信号は0.35ミリメートルしか透過しないのに、カバーガラスは0.4ミリの厚みがあり、指紋認証機能に不安が残ると指摘した。このため、4.7インチと5.5インチ機種は7月に量産を開始する予定だが、5.8インチ有機EL版は1カ月遅れると予測した。

 証券会社によると、下半期のiPhone8出荷構成比は▽4.7インチ、30%▽5.5インチ、15%▽5.8インチ有機EL版、55%──。来年以降も合わせれば、iPhone8出荷は1億5,000万~2億台が見込まれる。

 米系証券会社は、サプライヤーの受注状況や、有機ELパネル、ガラス筐体、3Dタッチ(感圧)センサーなどの機能がセールスポイントとなり、今年のiPhone出荷台数は前年比18%増と、プラス成長に転じると予測した。また、5.8インチ有機EL版は平均単価1,000米ドルが見込まれ、鴻海、和碩聯合科技(ペガトロン)、緯創資通(ウィストロン)が恩恵を受けると指摘した。

 モルガン・スタンレーは、今年のiPhone全体の出荷予測を前年比14%増の2億6,000万台へと、従来の2億4,500万台から上方修正した。

 アップルの16年サプライヤー上位200社のリストによると、主な台湾のサプライヤーは、組み立てが▽鴻海▽ペガトロン▽広達電脳(クアンタ・コンピュータ)▽仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)▽緯創資通(ウィストロン)──。半導体は▽台湾積体電路製造(TSMC)▽日月光半導体製造(ASE)──、パネル関連は▽宸鴻集団(TPKホールディング)▽瑞儀光電(ラディアント・オプトエレクトロニクス)──、光学レンズは▽大立光電(ラーガン・プレシジョン)▽玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル、GSEO)──など。

 新たに▽国巨(ヤゲオ)▽双鴻科技(オーラス・テクノロジー)▽健鼎科技(トリポッド・テクノロジー)▽精技電脳(ユニテック)──が加わった。このほか、鴻海が買収したシャープが40%以上出資しているレンズメーカーのカンタツも上位200社リスト入りを果たした。

 上位200社リストに含まれなかった液晶パネル大手、友達光電(AUO)は、特定の顧客についてはノーコメントとした。ブルームバーグの報道によると、AUOはiPhoneやiPad向けに液晶パネルを供給しており、アップルが売上高の2%を占める。アップルは今年iPhone8向けに有機ELパネルをAUOから一部調達する計画とされる。

 このほか、リストから外れたヒンジメーカーの兆利科技工業(JARLLYTEC)は、アップルのサプライヤーであることに変わりなく、出荷は正常だと説明した。筐体の谷崧精密工業(コクソン・プレシジョン・インダストリアル)は、顧客についてはノーコメントとした。

 アップルは上位200社で調達額の97%を占めると説明している。