液晶パネル大手、友達光電(AUO)は4月連結売上高が前月比10.5%減少、瀚宇彩晶(ハンスター)は28.9%減少した。市場調査会社IHSマークイットは、テレビメーカーは過去1年半続いたパネル価格上昇により今や利益が出ないとして値下げを求めているほか、第2四半期パネル調達の下方修正を決めたと指摘した。パネル景気は山場を迎えており、今後は後退局面に入る可能性が高い。9日付工商時報などが報じた。

 AUOが8日発表した4月連結売上高は277億7,600万台湾元(約1,040億円)で、前年同月比では7.6%増だった。大型パネル出荷枚数は866万枚で前月比12%減、中小型パネル出荷枚数は1,275万枚で前月比0.2%増だった。



 AUOは前月比減収について、3月売上高が比較的高かった上、4月は海外の一部顧客が決算期末でパネル調達を控えたためと説明した。4月の対米ドルの台湾元高も影響したと付け加えた。

 ハンスターの4月連結売上高は14億7,800万元で前年同月比22.6%増だった。大型モニター用パネルと自社ブランド製品向け出荷枚数は10万2,000枚で前月比55.9%減少、中小型パネル出荷枚数は3,008万枚で前月比34%減少した。

 IHSマークイットは、パネル価格上昇によってテレビ本体の製造コストが増加したが、テレビ販売価格に全て転嫁するわけにはいかず、テレビメーカーは利益が出るサイズのテレビ生産に転じていると指摘した。

 例えば、40インチ、43インチのテレビは赤字幅の拡大が続き、テレビメーカーのパネル需要は減少、値下げを求める声も強まっている。このため、より大型のパネルに需要が移行し、一時は大型パネルの価格上昇が続いた。ただ最近、中国のテレビブランドは55インチと65インチパネルの在庫が十分あるとして調達を控えている。一方、32インチテレビ価格は3月に値上げしたため利益が改善しており、テレビメーカーのパネル需要は安定している。

 IHSマークイットは、4月、5月のパネル価格は高水準が続いているが、第2四半期のパネル需要は縮小すると予測した。

 中国の市場調査会社、奥維雲網(AVC)の統計によると、中国の労働節(メーデー、5月1日)連休のテレビ販売台数は176万台で前年同期比13%減、販売額は64億人民元(約1,050億円)で2.5%減だった。販売額の減少幅が小さかった背景にはテレビの大型化があり、大型テレビ向けパネルを主力とするAUOと群創光電(イノラックス)への影響は比較的小さかった。