船井電機が3年半で4度目の社長交代に踏み切った。同社は8日、船越秀明取締役執行役員(51)が15日付で社長に昇格する人事を発表。
取材に応じた船越氏は「テレビ事業の拡大と強化で、強い船井を取り戻す」と話した。北米のテレビ事業の不振で2017年3月期まで2期連続で最終赤字になったもようだが、「18年3月期の最終黒字は必達だ」と語った。

 「原点に返って船井電機の強みとは何かを考えた」。船越氏は4月以降、複数回開かれた取締役会の様子をこう表現する。テレビなどの映像・音響(AV)機器の拡販による再建策に、創業者である船井哲良取締役相談役が賛同したとみられ、AV事業に詳しい船越氏に白羽の矢が立った。

 船越氏は技術畑で、DVDやテレビ事業でエンジニアとして長く現場に携わってきた。国内外でテレビの拡販や近く始めるヤマダ電機とのテレビ販売でも指揮を執ってきた。「船井電機が強かった頃の社員があまり残っていないのが問題だ」と船越氏は語る。

 船越氏は不振のプリンター事業を見直し「AVにもう一度カジを切る」戦略を描く。ただ、半年前の16年11月の中期経営計画で「液晶テレビへの依存が不安定な収益構造を生んでいる」と分析したのも同社だ。頻繁に社長が交代し、猫の目のように変わる経営戦略について、さらなる説明責任が求められそうだ。