台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が投資先となる有望ベンチャーの発掘を急いでいる。1日には台北市内で開かれたビジネスコンテストに初めて参加。海外旅行で余った外国通貨を両替するサービスを手掛けるスタートアップ企業に特別賞を授与した。鴻海の担当者は「1~2社はかなり有望な企業が見つかった」と手応えをにじませた。

 台北では5月30日~6月3日にかけ、アジア最大級のIT(情報技術)見本市「台北国際電脳展」(コンピューテックス台北)が開催中。この一環で昨年から始まったベンチャー特化型の展示「イノベックス」に、アジアや欧米など内外から272社が参加した。ビジネスコンテストで鴻海の投資担当者は審査員として目を光らせた。



 台湾のスタートアップ企業「Addweup」が鴻海から1万ドル(約110万円)を受け取った。海外渡航先で余った外国通貨を空港に設置した同社の機器に入れると、「支付宝(アリペイ)」や「LINE Pay」などの電子決済サービスのアカウントに入金できる。慈善団体への寄付も選べるという。

 鴻海の投資担当者は日本経済新聞に対し「プラットフォームを展開する発想を評価した」と語った。投資については「今後の発展を観察する」と明言を避けた。同社は単純な電子機器の受託製造サービス(EMS)からの脱却を目指しベンチャー投資を積極化している。昨年は仏高級音響メーカーのデビアレ、中国配車アプリ大手の滴滴出行などに相次ぎ出資した。