joled_15_s液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は7日、有機ELパネルの開発を手掛けるJOLED(ジェイオーレッド)の子会社化を再延期すると発表した。先送り時期は未定としている。JDIはJOLEDの子会社化を打ち出すことで筆頭株主の官民ファンド、産業革新機構から750億円の支援を受けて再建に乗り出したが、業績不振が続いて資金繰りが悪化しており、再建計画の抜本的見直しが迫られている。

 JDIは昨年12月、JOLEDを子会社化すると発表。スマホ向けなど中小型液晶パネルを主力とするJDIと、医療機器などに使う大型有機ELパネルを開発するJOLEDが組むことで、有機ELの開発を加速させる成長戦略を描いた。

 資金の大半を税金に頼る産業革新機構の支援は成長分野に限られ、企業救済のためには使えないため、JOLEDの子会社化は750億円の資金支援の「大義名分」となった。



 しかし今年に入り、低調なスマホ需要の影響を受けてJDIの液晶パネルの受注は減少。2017年3月期連結決算が3期連続の最終(当期)赤字になったのに続き、17年4~6月期も本業のもうけを示す営業損益が赤字となる見通し。足元の資金繰りは再び悪化している模様だ。

 このためJDIは、抜本的な構造改革が不可避と判断し、16年末に発表した中期経営計画の見直しも検討している。外部からの資本の受け入れや工場の再編、人員削減などを迫られる可能性がある。

 JOLEDについては当初、今年9月末までに子会社化する予定だったが、3月になって12月末までに延期すると発表。更に今回発表した再延期では、次の期限を示さなかった。JDIは「有機ELの事業化の見極めに時間がかかっている」と説明している。

 子会社化が見通せない現状では、有機ELの開発加速などの成長戦略は大きく揺らいでおり、機構による750億円の資金支援の正当性も問われかねない。東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは、「JDIとJOLEDの有機EL技術は異なり、統合に効果があるかは疑問だった。戦略が甘かった」と指摘している。