EIZOが医療や産業など高付加価値分野の液晶モニターの販売を伸ばしている。2018年3月期の同分野の売上高は445億円の見込み。欧州向け比率が高くユーロ安で収益は目減りするが、15年3月期比では35%の増加だ。政治の混乱が続く欧米の先行き不透明感が強い中、今後の成長戦略をどう描くのか。実盛祥隆社長に聞いた。

 ――堅調な業績が続いています。

 「17年3月期は総じて全てのセグメントが堅調に推移した。円高は逆風だったが現地通貨ベースでは伸びている。ここ2年の事業買収が奏功したのもハイライトの1つ。今期は特需があったパチンコ向けモニターが大幅に減るが、医療や航空などが伸びて、全体としては微増だ」



 「フランスで(親欧州連合の)マクロン大統領が就任したこともあり、欧州経済の堅調な流れは変わらない。今期も医療や航空管制、監視向けなどが好調だろう。米国事業も医療やコンテンツ制作分野が成長している。(ブランドやシェアの)立ち位置がしっかりしていれば市況変動は心配ない」

 ――高付加価値分野で評価を受けている要因をどう分析しますか。

 「1つは独自機能。監視用途では霧や西日があっても外がはっきり見えるなどの点で評価が高い。幅広い用途に合わせた製品群も強みだ。例えば病院や船舶など向けではそれぞれの業務に適した専用製品以外に警備や設備の監視といった需要も少なくない。別分野の製品を組み合わせた『クロスセールス』ができる」

 ――事業買収の効果も表れていますか。

 「15年に(米企業の日本法人から)買収した医療市場向けシステムインテグレーション事業は、当初の売上高が30億円程度だったがすでに3~4割増えた。医療施設向けはEIZOに任せれば全てそろうことから、他社が個別の製品を売り込む余地が狭まった」

 「16年に(パナソニックヘルスケアから)買収した手術・内視鏡用のモニター事業は当社がこれまで参入できなかった領域。取り込めた意義は大きい。これまで外注してきた製造を6月以降、約1年かけて本社工場に切り替える。品質向上に加え、開発から販売までを手掛けることで全ての付加価値を取りこめる」

 ――米国防総省が定めた「MIL規格」に対応した試験評価棟が本社敷地内に完成しました。

 「インフラ整備は年内に終わる。顧客に合わせてカスタマイズするためのベース製品を今年度中に1つは完成させる予定だ。3年後をメドに3~5種類までそろえ、少量の発注でも黒字になるようにしたい。どこにもできないことができるという訴求力につながる」

 ――25年に向けた長期戦略を練っています。

 「10年前はパチンコ向けモニターの売上高が500億円を超えていたが、今期は130億円の見込み。通常の会社なら大赤字だが、当時から将来を見越して事業を切り替えてきたから今がある」

 「来年度策定する3カ年の中期経営計画は今の『より深く、より太く』という既存ビジネスの基盤強化の路線でいける。だが、AI(人工知能)を始め世の中の変化は激しく、その先の3年では通用しなくなるだろう。25年にはどのような事業モデルにすべきか。それを管理職らが想定し、当社が持っていないリソースを今からどう取りこむかが1番の課題だ」