世界のIT(情報技術)景気を占う台湾企業の業績回復が続いている。主要IT19社の5月の売上高を集計したところ、合計額は前年同月比1.9%増と6カ月連続の増収だった。パソコン(PC)の受託生産や液晶パネルの供給が拡大。鴻海(ホンハイ)精密工業と台湾積体電路製造(TSMC)が一時的な要因で減収となったが、19社全体でプラスを維持した。

 19社合計の売上高は7798億台湾ドル(約2兆8千億円)で、増収率は前月より約1.6ポイント縮小した。19社中11社が増収を確保した。

 液晶パネル大手はテレビ向けの大型品の好調が続く。鴻海系の群創光電(イノラックス)は売上高が24.8%増加。友達光電(AUO)も8カ月連続の増収だった。



 電子機器の受託製造サービス(EMS)ではPCの組み立てを主力とする仁宝電脳工業(コンパル)が23.6%の増収だった。世界的な景気回復でオフィス向けのPCの更新需要が旺盛だ。同業の和碩聯合科技(ペガトロン)も18.1%の増収を達成した。

 また半導体メモリーのDRAM大手、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)は42%の増収だった。

 一方、鴻海は5.2%減の2798億台湾ドルと33カ月ぶりの低水準となった。年内にも発売される米アップルの新型スマートフォン(スマホ)は大幅なモデルチェンジが予定され、消費者の期待が大きい。現行モデルの買い控えで、組み立てを担う鴻海に一時的に悪影響が及んだようだ。

 アップルのスマホにシステムLSI(大規模集積回路)を供給するTSMCも1%の減収となった。