韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-In)大統領は19日、原子力発電所の新規建設計画を全面的に白紙に戻すと発表した。先月の大統領選で大勝した文氏は、脱原発を選挙公約として掲げ、エネルギー源としてより安全で環境に配慮した太陽光や風力などの利用を進めるとしていた。  

韓国では、2011年の東日本大震災に伴う福島第1原発の事故を受け、国内の老朽化した原発に対する懸念が国民の間に広がっている。



 文大統領は、同国で初めて稼働を開始した古里(Kori)原発1号機の廃炉を記念する式典で、「われわれは原発を中心に据えたわが国の電力供給政策を放棄し、『ポスト原発』の時代への扉を開ける」と演説。「現在進行中の原発の新規建設計画は全て白紙化し、稼働中の原発も設計寿命を超えては稼働を延長しない」と言明した。

 さらに文大統領は、人口密度の多い韓国では多くの原発が住宅地の近くに位置していると指摘し、メルトダウンが起きれば「想像を絶する結果」をもたらしかねないと警告。「韓国は地震のリスクから逃れられない。地震が原因で原発事故が起きた場合、壊滅的な影響を与えかねない」と語った。