三菱マテリアルは、同社の電子材料事業カンパニーが、有機ELディスプレイ用銀合金スパッタリングターゲットの新製品「DIASILVER(ダイヤシルバー)201-100」を開発し、量産を開始したことを発表した。
 スパッタリングターゲットとは、対象とする電子基板に原子レベルで合金や金属酸化物等の物質を付着させ、薄い膜を形成するための電子材料のこと。銀には「高反射率」「低電気抵抗」という特徴を有しており、銀合金スパッタリングターゲットは反射膜、電極膜、配線膜、あるいは半透明膜(半透過膜)を形成するために使われる。
 同社の有機ELディスプレイ向け銀合金スパッタリングターゲットは、形成された薄膜電極がもつ高い可視光反射率と耐食性、低電気抵抗、そしてターゲット製造技術により、ディスプレイの高輝度化および長寿命化が図られている。



このたび開発された新製品「DIASILVER 201-100」は、ターゲット材を形成する結晶の平均粒径が100μm以下と金属組織がより微細であること(従来品は400μm以下)、接合や貼り合わせ等の継ぎ目無しで大型サイズに対応していること(平板型:一体型G6、分割型G11、円筒型:G8.5)、金属組織がターゲット全体にわたって均一であること(面内および厚さ方向の結晶粒径のばらつきが20%以内)といった特徴がある。

また、大型基板に形成された薄膜の基板内における膜特性(電気特性、反射特性)の均一性向上による有機ELディスプレイの画像品質の改善、スパッタ中の異常放電(アーク放電)やスプラッシュ(ターゲット材の飛散)低減による有機ELディスプレイの生産歩留まりの改善、さらには大型サイズ化に伴う用途拡大といった効果があるとしている。

なお、今回の開発に合わせて、銀合金スパッタリングターゲットの製品ブランドとして、「DIASILVER(ダイヤシルバー)」シリーズを新たに立ち上げたことも発表された。