パナソニックは19日、あらゆるモノがインターネットでつながるIoT技術を活用した企業向け製品などを手がける事業について、開発や販売担当の社員らを今年10月までに本社がある大阪府門真市から東京にシフトさせる方針を明らかにした。同事業を統括する社内分社「コネクティッドソリューションズ(CNS)社」が10月に門真から東京に移転するため。

 東京拠点の人員は、約300人規模に上る可能性があり、東京シフトを鮮明化させる。CNSの樋口泰行社長が19日、東京都内で開いた記者会見で明らかにした。

 CNSは今年4月、BtoB(企業間取引)部門を開拓するために発足した。工場のデータをつなぎ、全体の稼働を効率化するIoTのサービスや旅客機の座席に備え付ける映像・音響(AV)機器の販売など企業向け事業を幅広く展開。車載とともに、パナソニックの成長事業と位置づけられている。

 樋口氏は、事業拠点の移転理由について「企業間のビジネスでは東京以外はない」と断言。「海外顧客にとっても、東京と大阪に来るのとでは違う」などと話した。

樋口氏は日本マイクロソフトの前会長で、ダイエーなどのトップも歴任。松下電器産業(現パナソニック)出身で今年4月に異例の復帰を果たした。就任直後の5月に開催された投資家向け事業説明会で、拠点の移転を発表。「言い方は悪いが、『門真』発想ではもう限界」などと説明していた。

 樋口社長は19日、経営幹部や技術者の外部登用の拡大を検討する方針も表明。「外から採用しないと変われない。まずは国内の人材だ」と強調し、IoTの専門家を中心に登用を拡大する意向を示した。