ニコンはディスプレー製造装置の増産投資に動く。国内の2工場でそれぞれ生産棟を新設し、スマートフォン(スマホ)とテレビ向けパネル装置の生産能力を最大2倍に増やす。中国を中心にアジアでは高精細な液晶パネルや有機ELパネルなどの工場投資が相次いでいる。旺盛な需要を取り込むため、製造装置の生産増で対応する。

 栃木と宮城にあるディスプレー製造装置の工場敷地内と近接地に、新たな生産棟をこのほど建設した。スマホ向けなどの中小型パネル用は、既に2015年比1.5倍に生産能力を増強済みで、現在フル稼働で対応している。テレビ向けの大型パネル用は、来年夏をメドに生産を始める計画で生産能力を約2倍に増やす。投資額は非公表。



 ニコンのディスプレー露光装置の世界シェアは約65%で首位。10世代と呼ばれる大型ディスプレー装置では、ニコンだけが生産技術をもつ。17年3月期の販売台数は過去最高の計92台。18年3月期は、投資が過熱した前期の反動で68台に落ちるが、長期的には右肩上がりの成長が見込まれている。

 背景にはアジアで活発なパネル投資がある。中国では京東方科技集団(BOE)や天馬微電子などが政府の補助金を得て液晶工場を相次ぎ建設。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も中国と米国で大型パネルの生産を計画する。スマホ向け市場では有機ELシフトが進み、パネル各社は新設備の導入を急ぐ。

 ニコンのデジカメ販売台数は17年3月期が629万台で前年度比で38.7%減少した。半導体露光装置もオランダ大手のASMLにシェアを奪われ苦戦する。このため昨秋には1000人規模の人員削減を含む構造改革を発表した。こうしたなかでディスプレー用装置は好調を維持している。