タッチパネル産業は元々、技術的に参入障壁が高くない産業といえる。古い液晶用カラーフィルター製造装置をタッチパネルのガラスセンサー製造に転用でき、初期投資が低く抑えられるなどの点で、タッチパネル市場が立ち上がる時期からさまざまなメーカーが参入を果たしてきた。
先行してきた日本勢や台湾勢は、薄く、透過性の高いタッチパネルが求められるハイエンドスマートフォン向け、中国勢はコスト要求の強いローエンドスマートフォン向けというすみ分けもできていた。


 スマートフォンの成長鈍化でタッチパネル市場の過当競争が表面化してきたことで、タッチパネルメーカーの淘汰(とうた)が進んで行くことになる。  既に、タッチパネル事業の不振だけが理由ではないが、2014年にタッチパネル最大手を争うメーカーの1社だった台湾のWintekが倒産している。最近でも台湾のTPKと中国のO-filmという最大手クラスの2社が資本提携を結ぶなど、最大手も含んで市場の集約が進んでいる。
 自動車向けにも通じる話ではあるが、これまでのタッチパネルではそのまま対応できなくなる。フレキシブルに対応する材料や技術、自動車で求められる厳しい環境下での仕様に耐えうる材料や技術を使った新しいタッチパネルが必要になる。そこにタッチパネルでイノベーションを生む余地がある。そして、ここでイノベーションを起こしたタッチパネルメーカーは、付加価値で利益を得る、ないし、業界での存在感を高めるということに成功し、集約の進むタッチパネル市場でも生き残る確率を高めることができるだろう。
Move to full article