スマートフォン(スマホ)やテレビに使う液晶パネルの取引価格が下げ続けている。4月と比べた下落率はスマホ用で5%、テレビ用で2%前後。有機ELパネルとの競合で需要が伸び悩み、価格の下落が止まらない。パネルの値下がりが続けば、液晶テレビの店頭価格もさらに安くなる可能性がある。

 テレビ用で指標となる32型のオープンセル(バックライトなどがつかない半製品)の大口向け価格は現在、1枚74ドル前後。42型は147ドル、55型は215ドル程度と、それぞれ4月に比べ0.5~2%下がった。



 有機ELテレビはいち早く商品化したLG電子の販売シェアが高い北米などで市場拡大が進む。液晶テレビ販売の頭打ちにつながり液晶パネルの需要が伸び悩む。米調査会社ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツの田村喜男アジア代表は「競合する大型液晶パネルの値下がり圧力になっている」と指摘する。

 液晶メーカーの間では市場シェアの低下を防ぐため、数量確保に向けた値下げの動きが出ている。一部のテレビメーカー向けに「液晶パネルメーカーが1枚1~5ドル程度の販促資金を提供している」(田村氏)との指摘も出るなど、価格の下落要因が消えない。

 スマホ向けも下がっている。英調査会社のIHSテクノロジーによると、上位モデルのスマホに搭載する5.5型液晶パネル(フルHD)の6月の大口向け価格は1枚11.4ドル前後。普及モデルへの搭載が多い5型品(HD)は8.4ドル前後。4月比で5%安くなった。テレビ向けに比べ下げがきつく、年初比でみると10~16%下落した。

 米アップルは秋にも有機ELを搭載した新型「iPhone(アイフォーン)」を発売する見込み。サムスン電子などに限られていた有機ELスマホの本格普及をにらみ、他のスマホメーカーは「液晶の調達で様子見を決め込んでいる」(IHSテクノロジーの早瀬宏シニアディレクター)。

 調査会社のBCN(東京・千代田)によると、大手家電量販店の薄型テレビ平均単価は5月に7万2100円と、前年同月と比べ2.6%下がった。

 有機ELテレビも普及に伴い、段階的に販価が切り下がっている。部材安に加え販売競争が激しくなれば、液晶テレビの価格下落に拍車がかかる可能性もある。