sharp honhai 2016apr1鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が台湾時間の27日午前6時、米ウィスコンシン州に8K液晶パネル工場を設置する投資計画を、ホワイトハウスでトランプ大統領と共に発表した。

投資規模は4年で100億米ドル。トランプ大統領が掲げる製造業の米国回帰政策に呼応した、米中間でバランスを取るための「政治投資」の側面が色濃く、郭董事長は嗅覚の鋭さとスピード感を見せつけた。支持率低下に悩むトランプ大統領にとっては大きなプレゼントとなった。中央社電などが27日報じた。



 トランプ大統領は「きょうは米国の労働者、米国の労働者、『メード・イン・USA』を信じる全ての人にとって偉大な日だ」と述べ、鴻海の大型投資を呼び込んだ成果を誇った。郭董事長を「私の友人で世界最高の経営者の1人」と呼び、計4回も握手、スピーチを終えて離れる際には左手を郭董事長の肩に回すなど、歓迎と感謝の意をアピールした。鴻海の投資により当初は3,000件、将来的には1万3,000件の就業機会創出が見込まれる。

 鴻海の米国投資構想が明らかになったのは昨年12月、トランプ大統の当選からわずか1カ月後のタイミングだった。トランプ大統領は選挙期間中、中国製品に高関税を課すことを示唆するなど中国への強硬姿勢を繰り返しており、中国を主要生産拠点とする鴻海は米中貿易摩擦に巻き込まる懸念があった。このため、トランプ大統領の製造業の米国回帰政策に乗って即座に米国に大型投資を決めたことは、リスク回避の上で重要な意義があった。



 鴻海の投資はウィスコンシン州から今後近隣のミシガン州やイリノイ州に広がると報じられている。ウィスコンシン州とミシガン州は昨年の大統領選でトランプ氏が僅差で勝った選挙区で、20年の次期大統領選に向けてトランプ大統領に恩を売った形となった。また、そうであるがゆえに鴻海は30億米ドル規模とされる大型の投資優遇措置も引き出すことができた。

 米国への大型投資は、鴻海の中国政府に対するカードを増やす意味も持つ。今年5月に李克強首相が直々に鄭州工場を訪問して、郭董事長に対し、高度な研究開発(R&D)を中国で行うことを含め投資継続を呼び掛けたことは記憶に新しい。

 郭董事長は「われわれは『眼球革命』の時代に生きている。高画質(8K)ディスプレイ技術と第5世代(5G)通信、ビッグデータと人口知能(АI)を結合して『5G+8K』のエコシステム(生態系)を構築する」とスピーチし、「特に8Kが鍵になる」との認識を示した。米国を投資先に選んだ理由については「米国には液晶パネル工場も8Kエコシステムもないため」と説明し、そこをわれわれが変えていく」と強調した。

 鴻海の米国投資計画「フライング・イーグル」は、サプライチェーンごと移転する大掛かりなもので、液晶パネル工場だけでなく、▽バッテリー▽機構部品▽バックライト▽LED(発光ダイオード)パッケージング(封止)──も含み、スマートマニュファクチュアリングを実現する方針だ。

 ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事は、2020年までに投資を始めるとの内容の覚書(MOU)を、あすにも鴻海と正式に締結すると説明した。投資の詳しい内容は台湾時間の28日未明に明らかになる予定だ。