台湾の鴻海科技集団(フォックスコン)は、100億ドル(約1兆1000億円)を投資し、米ウィスコンシン州に液晶パネル工場を設置する。鴻海は米国での大規模投資を通じ、サムスン電子、LG電子などが掌握している北米のテレビ市場を本格的に攻略する構えだ。  

鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は26日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会い、ウィスコンシン州南東部に2020年までに液晶パネル工場を建設すると表明した。新工場では最大1万3000人を雇用し、テレビやパソコンに使われる超高画質の液晶パネルを生産する計画だ。



 
鴻海が対米投資計画を大々的に発表し、サムスン電子やLG電子など韓国企業も圧力を受けそうだ。郭会長は普段から「打倒サムスン」が口癖だ。今年5月には個人投資家を前に「必ずサムスンをやっつける」とも語った。鴻海は昨年、日本のシャープを買収後、サムスンとLGでの液晶パネル供給を中断し、韓国企業をけん制してきた。市場からは鴻海がiPhoneの生産も米国に移転するのではないかとの見方が出ている。日本経済新聞は鴻海が現地に生産拠点を構築することで、北米地域の需要にライバル企業よりも弾力的に対処することができるようになると指摘した。

 鴻海の新工場が建つウィスコンシン州は共和党の票田で、トランプ大統領の支持層が集中する「ラストベルト」(脱工業化が進行する地域)だ。トランプ大統領は「米国の労働者を絶対に失望させない」と述べ、投資計画を歓迎した。ウィスコンシン州は工場建設に総額30億ドルの税制優遇策を提供する考えを表明した。