産業革新機構によるジャパンディスプレイ(JDI)の資金支援は3度目で、今も約36%の株式を握る筆頭株主だ。経済産業省と機構は当初、有機ELがモノになるまでのつなぎ支援という構えだったが、市況や製品トレンドの変化についていけず誤算を重ねた。機構などは傷口が広がらないうちに中国、韓国など外資メーカーの支援を求める選択肢を検討しているものの、再建シナリオは不透明になっている。  

「取れると思っていた注文を取れなかった。想定通り進むような甘い業界ではない」。JDIの再建計画見直しについて経産省幹部らの表情は渋い。機構と経産省は昨年12月に機構による追加支援を決めた際、将来性の高い有機ELの量産までの間、曲げることも可能な高性能液晶などの拡販で食いつなぐ道筋を描いていた。有機ELに必要な高度な技術自体はJDIが持っており、短期間に主力業務の転換を遂げてキャッチアップできると踏んでいたためだ。



 同省商務情報政策局の担当者までJDIに乗り込み再建に加わったが、米アップルによる採用を機にスマホ市場では有機ELへの移行が急ピッチで進み軌道修正が追いつかなかった。現行製品の受注も振るわないなど昨年末の再建策はつまずいた。JDIは車載液晶などで挽回を期す構えで、東入来信博会長兼最高経営責任者(CEO)は機構からの追加出資も「選択肢のひとつ」という。

 ただ、経産省内には「確実に市場を取れる保証はない」との慎重意見もあり、支援に「4度目」があるかは見通せない。

 機構は2011年に初回支援で2千億円の投資を決めたのに続き、16年12月に750億円を追加支援した。上場時に取得株式の一部を売却したことで当初7割だった出資比率は約36%に下がっており、再生を急ぎ、25年3月末までの設置期限に向けて出口戦略を探る。

 JDI以外の支援も膨らんでいる。機構は09年7月に設立され、投資能力は2兆円規模にのぼる。運営期間は15年間だ。3月末までの投資件数は114件で、約9800億円の資金供給を決めている。投資案件の約8割はベンチャー企業などへの投資だが、かつてはシャープの買収に動き、現在は日米韓連合で東芝の半導体メモリー事業の買収に乗り出している。

 苦境に陥った企業への出資は「事業の再編・統合」「民業補完」という大前提を逸脱し、退場を余儀なくされる企業の安易な救済とも受け止められかねない。官民ファンドの原資の大半は損を出しにくい公的資金で「彼らが出資先の重要な経営案件でリスクを取って果断に動けるとは思わない」(民間ファンド首脳)との声もある。