交通事故で身体障害を負った後に会社が復職を認めなかったのは不当だとして、電子部品大手「日東電工」(大阪市、東証1部)の元主任研究員の男性(43)=神戸市=が17日、同社に社員としての地位確認と慰謝料100万円などを求めて大阪地裁に提訴する。

 訴状によると、男性は1999年に入社し、広島県尾道市内の事業所で製品開発などを担当。2014年、バイクの運転中に事故に遭い、首を骨折。下半身まひで身体障害者1級となり、現在は車いすで生活している。



 男性は昨年8月に復職を求め、神戸市の自宅での勤務や、尾道の事業所への新幹線と福祉タクシーを使った通勤を希望した。

 しかし、会社側は応じず、今年1月、理由を示さずに「復職不可」と通知。男性は翌月に休職期間が満了し、退職扱いとなった。

 昨年4月施行の改正障害者雇用促進法は、企業に障害者への「合理的な配慮」を義務付けている。ただ、企業に過重な負担にならない範囲としており、どこまで配慮すべきか、明確な基準はない。

 男性側は「会社が配慮すれば復職は可能で、退職扱いは解雇権の乱用」と主張。同社は「個人情報に関わるためコメントできない」としている。