29日付自由時報によると、電子機器受託生産大手、緯創資通(ウィストロン)がインドでのアップルのスマートフォン、iPhoneSEの次世代モデル「iPhoneSE2」の生産を取りやめる可能性が出ている。
インドメディアによると、アップルは部品の輸入関税減免を同国政府に求めているが交渉が難航。ウィストロンが生産停止を決めた場合、アップルのインドでの製造計画そのものが見直しを迫られることになりそうだ。



インドのインターネットメディア「ファーストポスト」によると、アップルはインド政府に対し、部品、製造設備などの輸入に対し15年間の関税優遇措置を求めたようだ。これに対し政府当局は、関税減免は認めない代わりに、現地調達率30%を課していた部品調達規定の緩和を検討している。5月に始まった交渉はまとまらず、行方が懸念されている。

 同国のネットメディア「ミント」によると、アップルのインド生産計画に詳しい人物は、アップルにとって部品の輸入関税減免は利益計上のための鍵で、減免措置が受けられないのであれば、重要部品を高関税を支払ってまで海外から調達してインドで生産する必要性はないと指摘した。

 一方、アップルは主力市場である中国で、今年第1四半期の売上高が107億米ドルと前年同期比14%減少しており、2桁成長を遂げているとされるインド市場に次の成長エンジンとしての期待をかけているもようだ。

 ウィストロンはこれまでにインドへ18億台湾元(約65億円)投じ、南部カルナタカ州ベンガルール(旧バンガロール)の工場に生産ラインを2本設置している。そのうちの1本は今年5月からiPhoneSEの小規模な試験生産を行い、6月末からインドでの販売を開始していた。

 iPhoneSE2は同生産ラインで、当初は年30万~40万台を生産する計画とみられている。仮に生産が中止となれば、ウィストロンにとって今年のスマホ事業の業績への影響は避けられない。なお、もう1本の生産ラインは既に1年以上稼働しており、中国やインドブランドのモバイル端末を生産している。