steve jobs theater 5dアップルは12日(米現地時間)、次期iPhone(アイフォーン)をはじめ、新製品を披露するプレス向けイベントをカリフォルニア州クパティーノに建設中の新本社「アップルパーク」で開く。しかもiPhone誕生から10週年となる今回の会場は、ドーナツ型の本社屋とは別に建設された「ザ・スティーブ・ジョブズ・シアター」だ。

同社の共同創業者で、iPhoneの生みの親でもあるジョブズの名前を冠したこのシアターについては、詳細が明らかにされておらず、今回のこけら落としでその全貌が明らかになる。そこには、アップルならではのこだわりが随所に見られるようだ。



シアターは地下4階に作られ、ホール(オーデトリアム)の観客席は定員1000人。ブルームバーグの報道によれば、この施設でもっとも特徴的と言えるのが2基ある特注のエレベーターだという。

というのは、地上1階からエレベーターに乗り込んだ後、かごがシャフトの中を上下しながら水平方向にぐるりと回転する仕掛け。エレベーターのドアは1カ所で、降りる時と乗った時のドアは同じなのに、降りる時には乗った位置と正反対、つまり180度違う方向から降りることになるというのだ。クパティーノ市が公開した同シアターのフロアプランを確認すると、エレベーターシャフトの断面も円形になっている(図参照)。

日本でもドアが二つ付いていて、乗る時と降りる時に別々のドアが開くエレベーターはたまにある。だが、そうしたありふれたデザインを採用しないところが、いかにもアップルらしい。

かつて、ジョブズがマッキントッシュに付けるマウスのボタンを2個ではなく1個にすることにこだわったように、些細なことかもしれないが、アップルなりの美学がこんなところにも息づいていると言える。もしかしたら、ツイスト(ひねり、新しい仕掛け)をきかせたということだろうか。

シアターの地上部分についても、周囲が全面ガラス張りで、ひさしを兼ねた屋根のある地上20フィート(約6メートル)の位置に、建物自体がまるで浮いているように見えるという。地下のオーデトリアムには階段でも降りられ、階段室は円形の壁に沿って配置される。それに加え、ゴージャスなのがシアター観客席の革製シート。ブルームバーグでは3月にエンジニアに聞いた話として、シート一つ当たり1万4000ドルものコストがかかっていると報じている。

「スティーブは、アップルパークをこれからの世代にとってイノベーションの原点にしようと考えていた。アップルに対するスティーブのビジョンは死後もずっと私たちとともにある」。同社のティム・クックCEOはアップルパークの概要を明らかにした今年2月、こうした内容のコメントを発表した。

アップルパーク全体の建設予算は推定で50億ドル。およそ800万台分のiPhoneの金額に相当するという。新本社自体、ジョブズが構想にかかわったことから、彼の「最後の遺産」とされている。さて、そんなジョブズゆかりの会場でお披露目される10周年記念の新型iPhoneは、またもや世界を熱狂させることになるのかどうか。