ソニーでテレビ・オーディオ事業を統轄する高木一郎執行役EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)は12日、担当部門の業績について「増益に向けて歩んでいる」と手応えを示した。

今年6月に国内で発売した有機ELテレビについて「非常に好調に販売している。目標をはるかに上回っている」と強調した。

高木執行役が担当する「ホームエンタテインメント・アンド・サウンド分野」は、2018年3月期に580億円の営業利益を予想。前年比横ばいの予想だが、高木氏は「担当事業のテレビ、オーディオ、ビデオは必ず増益を果たすと公約している。少なくとも増益に向けて歩んでいる」と述べた。



ソニーは、2013年度までの10年間赤字が続いたテレビ事業の立て直しに手を焼いた。販売数量を追わない戦略に舵を切り黒字に転じたものの、今年度5000億円を見込む全社営業利益の水準に比べ、HE&S分野の利益の幅は小さく、黒字の定着とともに利益の引き上げも課題になる局面だ。

高木氏は、今年度のテレビを含む家電事業の増益を見込む方策について、商品性向上による単価アップや在庫管理の改善などを挙げた。「愚直なやり方で前年を超えていく」としている。

6月に日本国内で発売した有機ELテレビについて高木氏は「(国内で)50%以上のシェア(金額)。当社がシェアを取りすぎていて他社は苦労しているだろうが、目標のはるか上をいく売り上げで非常に好調だ」と述べた。

液晶テレビとの棲み分けについて高木氏は「パネルの供給量は限られているので、液晶テレビを置き換えるために安売りしてたくさん売るのではなく、有機ELだから買う顧客に絞り込んで売っていく」と話した。

テレビ用有機ELパネルの供給は韓国のLGディスプレイが独占。高木氏は「(パネルを)どこから買っているかは言えない」と断りつつ、「まだまだプレミアム向けの商品で、現時点では液晶テレビとは一線を画した値付けになっている。デバイス(パネル)が足りなくなる供給不安にあわずに済みそうだ」と指摘した。