台湾とインドの業界団体は12日、▽電子製品製造▽スマートシティー▽グリーンテクノロジー▽スマートカー部品──の4分野で21項目の提携覚書(MOU)を交わした。インドには鴻海精密工業、聯発科技(メディアテック)などが進出しており、今後も7%を超える高い経済成長が見込まれている。中国経済が減速する中、台湾の新たな成長エンジンの一つとして、インド新興産業の商機獲得に攻勢をかける。13日付工商時報などが報じた。

台湾経済部と中華民国全国工業総会(工総、CNFI)は12日、台湾インド産業鏈結高峰論壇(インダストリアル・コラボレーション・サミット)を開催し、工総とインド商工会議所連合会(FICCI)が率いる9つの業界団体や企業、シンクタンクが21項目の提携MOUを交わした。電子製品製造とグリーンテクノロジーが各6項目で最多だった。



 経済部の龔明鑫政務次長は、インドの過去3年のGDP(国内総生産)成長率は7%を超えており、世界中から企業の投資が相次いでいると指摘。台湾はアジア・シリコンバレー計画など「5プラス2創新産業政策」、東南アジアやインドとの関係強化を目指す「新南向政策」を推進しており、インドとの産業提携では製造や研究開発(R&D)の経験を提供したいと話した。

 経済部は、インドは「メーク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」や「デジタルインド」計画を推進しており、例えばディスプレイ産業では従来海外から輸入していたものを、インド現地での組み立て、生産に切り替えていると指摘した。こうしたインドのモジュール、組み立ての現地化に、世界2位の液晶パネル生産を誇る台湾は協力できると説明した。

 また、インドはスマートシティーを100カ所に構築する構想で、IoT(モノのインターネット)関連の輸出が期待できる。グリーンテクノロジーについては、2014年からインドと協力しており、今後もグリーンエネルギーの応用と汚水処理循環テクノロジーで関係を深める。スマートカー部品産業では、インドが30年までに電気自動車(EV)以外の販売を打ち切る方針のため、安全運転支援システムやコネクテッドカーなどの分野で提携機会を模索できる。

 インドは人口13億人以上で、20年に消費者向け電子製品市場の規模が4,000億米ドルに達する見通しだ。14年のナレンドラ・モディ首相の就任後、経済改革が進んでおり、国際通貨基金(IMF)の予測によると、インドの17年度(4月~18年3月)のGDP成長率は7.2%と、3年連続で中国を上回る見通しだ。