パナソニックは液晶テレビの生産工程を見直す。液晶パネルにバックライトを取り付ける工程を国内外の全8拠点で内製化する。これまで外部に委託することが多かったが、自社で部品を取り付けることで調達価格を抑える。
店頭の販売動向に合わせた柔軟な生産も可能となり、在庫も約4割減らす。液晶テレビの店頭価格の下落傾向が続く中、生産コストを抑えることで収益確保につなげる。



 液晶テレビはバックライトの白い光を、色の付いたフィルターを通して映像をパネル画面に表示する。パナソニックは2016年にパネルの自社生産を終了後、パネルにバックライトを取り付ける作業も基本的に外部に委託してきた。

 宇都宮市のテレビ工場では、10月下旬に発売する液晶テレビの上位モデルで取り付けを始めた。海外でもアジアの主力拠点であるマレーシア工場で内製化したほか、チェコにある工場などでも17年度中に自社での取り付けに切り替える。

 自社でバックライトを取り付けるパネルの比率を18年度中に5割から8割に高めることで、最適な調達が可能となる。仕入れ価格が下がるほか、売れ筋のテレビの生産台数を増やすといった柔軟な在庫管理がしやすくなるという。




 パナソニックが工場で抱える在庫は2.5カ月分だが、取り付け工程の内製化などで1.5カ月分に減らすことができる。「同業他社と比べても低い水準になる」(パナソニック幹部)。品薄になるリスクもあるが、売れ行きに柔軟に対応しやすくなるという。

 液晶テレビの材料費の大半を占めるパネルの価格は変動しやすく、家電量販店では液晶テレビの低価格化も進む。家電量販店のノジマが49型の大型4Kテレビを5万円台で発売予定など、4Kが普及するにつれ、価格競争が激しくなっている。

 液晶テレビの製造工程の内製化比率を高めれば、パネルを安い時期に多く買い、テレビが高い値段で売れそうなタイミングにあわせて集中的に生産するといったことも容易になる。

 パナソニックのテレビ事業は15年度に黒字化した。かつて自社生産していた液晶パネルを他社から調達するビジネスモデルのため、収益を増やすための工夫の余地が小さい中、一部工程の内製化で対応する。