日亜化学工業(徳島県阿南市)が長野県下諏訪町の研究開発拠点で光半導体の応用技術や製品の開発に取り組んでいる。同社は実現不可能といわれた青色発光ダイオード(LED)を実用化した企業として世界に知られる。ものづくり企業が集中する諏訪地域で、地元企業とも連携して開発力を高めようとしている。

諏訪湖の東岸そばに建設された研究開発拠点「諏訪技術センター」。地上2階、地下1階の建物はガラス張りになっていて、諏訪湖を一望できる。研究者にとって恵まれた立地環境だ。

 業務を開始したのは2016年12月。「徳島の本社の研究拠点が『光を創る』ならば、諏訪は『光を操る』。光半導体の応用製品の開発を進める」。こう同センターの位置づけを説明するのは四宮源市常務・第二部門副部門長(開発担当)だ。諏訪技術センターのセンター長も務める。



 日亜化学工業は青色LEDに加え、蛍光体と組み合わせて白色LEDを開発した。影響は大きく、蛍光灯などが使用されていた一般照明や、車載ランプといった様々な分野でLEDへの置き換えが進む。目に見えない紫外線を出すLEDも開発しており、樹脂加工分野への応用も期待されている。

 こうした光半導体の基礎技術や新規材料の開発を本社の基礎技術センターで実施し、応用研究は横浜市の横浜技術センターが担当してきた。諏訪の拠点が加わることで応用研究が加速する。諏訪技術センターの従業員は24人だが今後、40人程度まで増やしたい考えだ。

 同社はもともと、長野県岡谷市の企業に応用研究を委託していた。その企業での日亜化学工業の業務量が多くなり手狭になってきたため、日亜化学工業側が技術者と設備を引き継いで自前の拠点を下諏訪町に新設した。

 LEDなどの応用開発を進めるうえで必要となるのはレンズなど光学、電気、機械の3種類の技術。これらを組み合わせて製品を試作して、様々な企業に提案する。諏訪地域は3種類の技術を得意とする企業や技術者が多く存在している。同社は「地域の技術とコラボしていいものができるという大きな望みがある」と話す。

 諏訪技術センターには共同研究のラボもある。「自社に評価・測定用の機材がなければ来社してもらい、LEDや半導体レーザーを使う上での特性を調べることができる」(四宮常務)。すでにLEDの紫外光と有機物との化学反応を利用する分野で、他の企業との共同研究が始まっている。

 諏訪技術センターは敷地面積が約3万平方メートル。建物の周囲は植栽などのスペースが広いが、それでも広大だ。四宮常務は「研究開発の進展によっては拡張できる余地がある」といい、将来、諏訪の拠点は大きくなる可能性を秘めている。