電気自動車(EV)世界最大手、米テスラモーターズに減速機(ギアボックス)を供給する和大工業(HOTA)の沈国栄董事長は26日、12月から出荷量を4割減らすようテスラから通知を受けたと明かした。

今年の新モデル「テスラ3」は生産にボトルネックを抱えており、月間生産台数が目標の5分の1以下にとどまっている。同社に製品を供給する台湾の自動車部品・電子部品メーカーの業績に影響が懸念される。27日付経済日報が報じた。
 モデル3は、従来モデルから価格を引き下げたことから予約が殺到。現在50万台の受注を抱えている。一方で7~9月の生産台数は月間260台と目標である1,500台の5分の1以下にとどまっている。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、7月に「今後6カ月は生産地獄に陥る」と話しており、生産拡大は厳しい見通しだ。

 沈董事長は、12月からの出荷量を週3,000セットと、暫定的に4割削減するようにテスラから通知を受けたと説明。来年3月から週1万セットに引き上げる計画だったが、5~6月に延期となるとの見方を示した。なお、11月までは週5,000セットを維持できると話した。

 テスラにハーネスを供給する貿聯(ビズリンク)は、テスラ3効果で第3四半期売上高は44億6,700万台湾元(約170億円)と四半期ベースで過去最高を記録し、第4四半期はこれを更新するとの見方も出ていたが、テスラ3向けの出荷が大幅減となれば困難が予想される。

 この他、▽為升電裝工業(CUBエレクパーツ)、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)▽亜洲光学(アジア・オプティカル)、車載用レンズ▽同致電子企業(TTE)、ADAS(先進運転支援システム)▽乙盛精密工業(ESON)、サンルーフや電池部品──といった台湾サプライヤーへの影響も懸念される。

 モデル3生産のボトルネックについて市場では、シートに問題があるとの観測が出ている。サプライヤーは、シートの座面が短くアームレストがないため座り心地が悪く、企業オーナーや富裕層などの顧客を満足させるレベルに達しておらず、テスラが改善を検討していると明かした。

 一方、沈董事長は、あるサプライヤーの良品率がテスラが求める水準に達していないと指摘。両社の協議が長引いており生産に影響が出ていると話した。