セーレンは車の自動運転や電気自動車(EV)の普及を見据え、計器などが鮮明に見えるタッチパネル式の運転席用ディスプレーなど新たな内装材の開発に着手した。
背もたれなどを操作する金属と繊維を組み合わせたシートも開発、車体の軽量化による性能アップにつなげる。2025年~30年をめどに自動車メーカー向けに量産することを目指す。
10月25日から11月5日まで東京ビッグサイト(東京・江東)で開催中の東京モーターショーで次世代ディスプレー「V―コックピット」を公開した。最大の特長は画像の鮮明さだ。パネルの裏側にあるモニターや計器類がパネルに映っているように見える。コンピューターを使った独自の染色技術「ビスコテックス」で着色した特殊なフィルムをパネルに貼り付けることで実現した。



 パネルは運転席から助手席までが一体となっており、運転席側では速度計や燃料の残量を表示する。カメラ付きサイドミラーやバックミラー搭載の車種であれば、その映像も見られる。

 中央から助手席側では動画やメールが見られ、パネルをタッチして操作できる。将来、完全自動運転が実現すれば運転席、助手席を問わず様々な機能が盛り込める。結川孝一社長は「車内での楽しみ方も考えないといけない」と話す。

 ディスプレーのほか金属と繊維を組み合わせた操作シートも開発した。同モーターショーではDJのディスクジョッキーを模し、触ると音楽が流れるシステムを紹介したが、目指すのは車内のボタンレス化だ。

 布1枚ほどの厚みで軽く、伸縮性があるためドアなどあらゆる場所に取り付けられる。操作シート上の決められた場所を触ると窓の開閉や背もたれの角度変更などがタッチ一つでできる。

 このほかシートとインパネの素材や柄、色を自由に組み替えられるオーダーカスタムシステムを披露。消費者はタブレット(多機能携帯端末)などを操作して好みの内装をデザインする。組み合わせは1億7千万通りに上るという。「通常は小ロットの生産は採算が合わないが、ビスコテックスの技術があれば対応できる」(結川社長)という。

 自動車の内装材事業はセーレンの連結売上高の約半分を占めるコア事業だ。調査会社の富士経済の調査によると35年にEVは世界で630万台に達する。また、矢野経済研究所の調査では部分的な自動運転システム搭載車が30年に世界で約2798万台になる。

 走行の仕組みが変われば、内装材に求められる機能も多様化する。これまでも本革に劣らない合繊シートの開発などで需要を取り込み、世界シェア1位となった。20年3月期に掲げる車両資材部門の単純合計売上高の目標1000億円達成のためにも、あらゆる可能性を模索している。