市場観測によると、鴻海精密工業はアップルからの指示で、人気の高い新型スマートフォンiPhoneXの生産に集中し、iPhone8プラスの受注は緯創資通(ウィストロン)が一部を肩代わりする。
アップルがiPhoneXに注力するのは、粗利益率が64%と高いためとみられる。来年第1四半期は本来は非需要期ながら、鴻海の生産台数は前期比35~45%増が予想され、関連部品メーカーも出荷単価上昇で恩恵を受けそうだ。
8日付経済日報などが報じた。
 市場観測によると、アップルは、3日に発売したiPhoneXの高い人気を受け、iPhoneXを独占受注している鴻海に対し、iPhone8プラスの生産能力をiPhoneXに振り分けるよう指示した。



 アップル製品の予測に定評のある凱基投資顧問証券(KGI)の郭明錤アナリストは、4.7インチのiPhone8はアピールポイント不足で、消費者は価格差もそれほどない5.5インチのiPhone8プラスや、5.8インチのiPhoneXを選択していると分析した。第4四半期のiPhoneX販売台数は2,200万~2,400万台、鴻海の生産台数は2,500万~2,700万台で、来年第1四半期の生産台数は前期比35~45%増と予測した。

 一方、市場ではアップルの業績目標や公式サイトでの売れ行きを基に、鴻海のiPhoneX生産能力は従来予測より14.2~20%引き上げられ、第4四半期生産台数は3,500万台、来年第1四半期4,000万台を目指すと予想されている。

 鴻海はiPhoneを組み立てる中国河南省の鄭州工場で11月から、年齢引き下げなど求人条件を緩和している。これは、アップルの需要が強いため、労働力を確保する目的とみられている。

 市場調査会社テックインサイツによると、iPhoneXは64GB(ギガバイト)版1台当たりの製造原価が357.9米ドルとiPhone8より25%高い。米国での販売価格は999米ドルとiPhone8より43%高く、粗利益率は64%とiPhone8の59%を上回る。

 iPhoneXの製造原価が高いのは、高価な部品が多いためだ。例えばiPhoneXの5.8インチの有機EL(OLED)ディスプレイはコスト65.5米ドルで、iPhone8の4.7インチディスプレイは36米ドル。iPhoneXのステンレススチール製フレームは36米ドルで、iPhone8のアルミ合金フレームは21.5米ドルだ。

 市場では、川下の組み立てメーカーは利幅が小さいが、半導体やパネルなど川上のサプライヤーは恩恵を受けるとみられている。ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の粗利益率は50%前後、デジタルカメラ用レンズ世界最大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)の粗利益率は60%を超える。

 このほか、iPhoneXがサブストレート基板(SLP)を採用したことで、景碩科技(キンサス・インターコネクト・テクノロジー)、華通電脳(コンペック・マニュファクチャリング)、臻鼎科技(ZDT)の出荷単価(ASP)はエニーレイヤー高密度基板(HDI)より50~100%高まった。業成控股(ゼネラル・インターフェース・ソリューション、GIS)や宸鴻集団(TPKホールディング)が提供する「3Dタッチ」の貼り合わせの単価はiPhone8より50%以上高い。ガラスのパネルを用いた金属フレームに代わり、鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)や可成科技(キャッチャー・テクノロジー)も出荷単価が上昇した。

 一方、アップルはiPhone8プラスも予想以上に売れていることから、ウィストロンに対する発注を80%上乗せした。これによりウィストロンは、iPhone8プラスの受注比率が10~18%と、従来の4%から大きく上昇した。

 郭アナリストは一方、iPhone8を主に生産する和碩聯合科技(ペガトロン)は、来年第1四半期の生産台数が前期比50~60%減ると予測した。

 ブルームバーグによると、ウィストロンは今年からインドで低価格モデルのiPhoneSEを生産しており、工場拡張のため、南部カルナタカ州の州都ベンガルール(旧バンガロール)で100エーカーの用地を探しているようだ。