LG signature lg28今後の普及が見込まれる有機ELテレビが値下がりしている。家電量販店の店頭価格はソニーやパナソニックが有機ELテレビに相次いで参入した6月と比べて1~2割安い。今後も価格の下落基調が続く見通しで、冬のボーナス商戦の目玉商品として買い替える動きが広がりそうだ。

ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京・千代田)の売り場で国内メーカーの55型モデルの販売価格は税込みで47万円前後。主要各社の製品が出そろった6月から約7万円(13%)下がった。同店によると、10月の有機ELテレビの販売台数は6月に比べ5割増えた。



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 他店でも傾向は同様で、ビックカメラ新宿西口店(東京・新宿)は国内メーカーの55型モデルが6月から1割安い。有機ELは自ら発光する有機化合物を使い、液晶のようなバックライトは不要だ。「液晶テレビよりも、明暗をはっきり表現できるのが有機ELテレビの強み」(担当者)。冬のボーナス時期に購入を検討する客が目立つ。関西地盤の上新電機の店頭価格も国内メーカーの55型が10月末時点で、6月末に比べ5万円(12%)値下がりした。

 調査会社のBCN(東京・千代田)によると、10月の家電量販店やネット通販の有機ELテレビの平均価格(税別)は36万4000円。6月と比べ18%安くなっている。一方で50型以上の液晶テレビの10月の平均価格は15万9000円と、6月からほぼ横ばいだ。「有機ELテレビは初期の価格が高かったため、値下がり幅が大きい」(同社の山口渉アナリスト)

 販売台数も大きく伸びている。山口氏は「4K対応薄型テレビで有機ELテレビが占める比率は現在5%程度だが、1年後には10%を超える可能性がある」と指摘する。

 家電量販店が独自に有機ELテレビを発売する動きもある。ノジマは来年春をメドに55型で20万円を切る商品を発売する計画だ。

今後の有機ELテレビの価格動向を左右するのがパネルの製造コストだ。テレビ用の有機ELパネルを量産できるのは韓国LGディスプレーに限られ、日本のテレビメーカーも同社のパネルを採用する。製造コストは現在、テレビ用の55型が600ドル弱、65型は1千ドル前後とみられ、同サイズの液晶と比べ2倍近い。

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