中国のスマートフォン大手、小米科技(小米、シャオミ)は21日、IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)の朱尚祖・前共同営運長(COO)を、小米の産業投資部パートナーに迎え入れると発表した。年俸は1億台湾元(約3億7,500万円)以上とみられている。

業界関係者は、こうした高度人材は高待遇だけでなく、より大きな活躍の舞台を求めて転職していると分析。中国の電子業界のさらなる発展が見込まれる中、台湾半導体業界の高度人材が中国企業に活躍の場を求めるケースが止まらない。22日付経済日報などが報じた。



台湾半導体業界ではこれまで、中国の半導体大手、紫光集団が台湾のDRAM大手、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)総経理と華亜科技(イノテラ・メモリーズ)董事長を務めた高啓全氏、および台湾のファウンドリー2位の聯華電子(UMC)で副董事長、執行長(CEO)などを歴任した孫世偉氏を引き抜くなど、2000年以降だけでも重要人物8人が海外に流出している。特に、中国政府による地場産業支援で勢力を増している「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」に高度人材が奪われることで、半導体技術の流出が懸念されている。

 ただ朱氏の場合、メディアテックにとって小米は顧客で、競合関係にはなく、移籍先も技術流出の懸念の少ない投資部門だ。

 業界関係者は、メディアテックは近年低迷している一方、中国メーカーは規模が大きく、リソースも豊富で、中国市場は今後2~3年以内に世界最大の半導体供給先となる見通しのため、台湾よりも活躍できるチャンスがあると指摘した。また、台湾の中規模メーカーでは朱氏のような高度人材を十分な待遇で迎え入れることは困難なため、海外の大手メーカーへの流出が進んでいると分析した。

 メディアテックは、朱氏は小米の産業投資部に加わり、スマホ部門でないと強調し、また小米はIoT(モノのインターネット)分野も展開していることから、両社の提携関係は今後拡大するとコメントした。朱氏は小米への転職後も引き続きメディアテック上級顧問を務める。

 小米の雷軍(レイ・ジュン)CEO(最高経営責任者)は、朱氏は20年以上の経験があり、小米とメディアテックの良好な関係にも貢献したと指摘。その傑出したリーダーシップと人脈で、小米の投資事業を成功させてほしいと述べた。

 業界関係者は、小米の産業投資部は200社以上への投資実績があり、今後はベンチャーに投資し、メディアテックと小米の提携の懸け橋になる可能性もあると指摘した。

 朱氏は1990年に交通大学電子工程系を卒業し、修士の学位も取得した。半導体メモリー大手の華邦電子(ウインボンド・エレクトロニクス)で勤務後、99年にメディアテックに転職し、研究開発(R&D)部の経理に就任から始め、デジタルコンシューマーエレクトロニクス事業部やデジタルカメラチップ事業部の総経理などを歴任した。メディアテックの通信事業の業績が大きく落ち込んだ10年にはスマートフォン部門総経理に抜擢され、クアルコムの製品力や特許に対抗しつつ2年足らずで中国市場を開拓し、スマホチップサプライヤー世界2位の座に引き上げた。

 15年に共同運営長に就任し、次の総経理候補と目されていたが、昨年のスマホチップ市場でのシェア低迷を受け、今年7月に共同営運長を退いていた。