スマートフォンの修理を求める顧客がサービスセンターに故障した液晶ディスプレイを返すと修理代が割引される。こうした液晶ディスプレイの中から比較的良好なものを選んで横流しし、本社には盗品なども扱う中古品業者から購入した廃棄液晶ディスプレイを代わりに渡し、差額を懐に入れていたサムスン電子サービスセンターの修理技術者が多数摘発された。

 ソウル地方警察庁知能犯罪捜査隊は、業務上横領などの疑いでサムスン電子外注請負サービスセンター所属の修理技術者196人を摘発、このうちの30歳の修理技術者を逮捕して起訴意見付きで検察に送致したと29日、明らかにした。これら修理技術者の中には、単なる浸水で交換の必要がない液晶ディスプレイまで「廃棄すべき液晶ディスプレイであることが確認された。修正は不可能だ」とユーザーに返納を促したケースもあった。警察はこれら修理技術者に詐欺容疑も適用した。



 サムスン電子では、2014年からスマートフォンの液晶ディスプレイを修理する際、不良部品を返納すれば修理代総額の50%を割引するサービスを行ってきた。逮捕された30歳の修理技術者らはこの規定を口にして液晶ディスプレイ返納を誘導、強化ガラスのみ少しだけ傷が付いていて画面は正常に作動する「単純破損液晶ディスプレイ」を横流しして中古品業者に1台あたり5万-13万ウォン(約5000-1万3000円)で売った。本社には中古品業者を通じて1台あたり5000-3万ウォン(約500-3000円)で購入した廃棄液晶ディスプレイを渡した。修理技術者たちがすり替えたスマートフォン液晶ディスプレイは合計6400台以上で、時価6億6000万ウォン(約6600万円)に達する。逮捕された修理技術者はこのうち1億8600万ウォン(約1800万円)に達する液晶ディスプレイを横流ししていたと警察では話している。

 サムスン電子サービス側は「ユーザーの被害内訳を確認して再発防止策を講じている。協力会社の管理責任も検討する」と明らかにした。