パナソニックは5日、2枚のガラスを貼り合わせて内部を真空にした断熱ガラスを開発したと発表した。2013年に撤退したプラズマディスプレー用パネルの技術を転用し、厚さ6ミリメートルの薄型としては業界最高クラスの断熱性能を実現した。
ガラスの間の狭い空間に部材を取り付けたり、空気を遮断したりするといった共通の工程が多いことに着目した。まずは冷凍・冷蔵ショーケース向けに販売を始める。
プラズマパネルはガラス表面に透明電極の膜を張り付けた後に銀の電極や発光体など微細な部品を取り付ける。空気が入らないようにする封止材を端に塗布し、最後に空気を抜き内部を真空状態にする。



 真空断熱ガラスも似た構造だ。窓などに使う一般的な板ガラスの表面に熱を伝えにくくする膜を形成。真空でもガラスの間に空間を保つための柱や、部品から漏れるガスを吸着する部材を取り付ける。プラズマパネルで使った製造設備や試験装置が転用できる。封止材の塗布や排気では使う材料や工程が全く同じだ。

 パナソニックは液晶テレビに押される中で、プラズマテレビ用のパネルから撤退。大阪府茨木市や兵庫県尼崎市の工場を10年前後に次々と閉鎖した。

 研究開発を担当していた瓜生英一課長は13年以降にテレビを担当する社内カンパニーから技術者を連れて住宅部材を手がけるカンパニーに転籍した。「何とか技術を生かして新しい商品を生み出したかった」と話す。ガスの吸着材には冷蔵庫の真空断熱材を活用するなど、グループの技術を集めて製品化に結びつけた。

 12月からは16年春に買収した業務用冷蔵庫メーカーのハスマンに出荷を始めた。コンビニやスーパーのショーケースで庫内の冷却を減らし、ガラス表面に結露防止のヒーターを付けることが不要になる。住宅向けにも用途を探す。