2018年に創業100周年を迎える日東電工。18年3月期の連結営業利益(国際会計基準)は前期比46%増え、過去最高になる見通しだ。スマートフォン(スマホ)の画面向けフィルム部材が業績をけん引し、「次の100年」を見据えて自動車関連の分野にも力を入れる。高崎秀雄社長に戦略を聞いた。

――17年4~9月期の売上高営業利益率は16.0%と、前年同期から7.7ポイント改善しました。

 「ディスプレー関連部材が好調だ。今年は、液晶が主流だったスマホに有機ELのモデルが本格投入された。有機ELでは液晶以上にタッチセンサー用フィルムや粘着シートなど多様な部材が必要だ。それらの6~7割を我々が占めている」

 ――液晶での強みを有機ELでも生かせるか懸念する声もありました。



 「顧客との高い密着度が他社とは異なる。パネルメーカーなどから、新機能の部材の相談などで最初に声をかけてもらえる関係を築いてきた。有機ELで必要な部材の種類や量について早くから情報を手に入れて開発や生産を準備してきた」

 ――今後の有機ELの変化に対する戦略は。

 「有機ELは曲げられる画面や折り畳める画面などフレキシブルな方向へ進化するとみられ、その準備をしている。顧客から要望が出る前に新技術を開発するのはもちろん、量産にそなえ投資を先行することも重要だ」

 ――光ファイバー事業への参入など新規事業に力を入れています。

 「我々が手掛けるプラスチック製の光ファイバーは短距離通信で速度や耐久性などが優れる。20年の五輪をターゲットとした8K放送用ケーブルをはじめ、データセンターや遠隔医療など用途は極めて広い。19年度に国内で量産を始めるが、大型の製造設備が必要な際には海外に生産拠点を持つことを検討している」

 ――今後さらに力を入れる事業領域は。

 「自動車の電動化や自動運転の流れで、自動車分野での引き合いは強まる。現在は車体の強度を上げるシートなどが中心だが、光ファイバーの配線やフロントガラスのディスプレー化などへの需要が拡大するだろう」

 「ライフサイエンス分野で薬も手掛けている。次の100年は今まで以上に人の生活に近い所で役立つ会社にしたい」

■記者の目 スマホ依存危うさ 車向け開発課題に

 スマホの液晶から有機ELへの変化では、得意とする部材「偏光板」の使用枚数が2枚から1枚に減る。業績への懸念もあったが、実際は変化をきっかけにタッチセンサー用フィルムなど他の部材の受注を獲得した。高い技術力と営業力で需要を開拓する戦略が評価され、株価は11月に上場来高値を更新した。

 ただ、スマホ市場の拡大ペースが減速する中、部材は完成品メーカーの生産調整の影響を受けやすい。成長維持には、新たに注力する自動車向けや医薬関連事業の育成が課題となりそうだ。