2017年のクリスマス商戦が終盤に入っても、iPhone Xへの需要は予測を下回っていると、米ブルームバーグは12月26日に複数のアナリストを引用した。同日のアップル株価は下落し、アナリストは2018年第1四半期のiPhone X出荷数の予想を引き下げた。

 iPhone Xの販売価格は最も安いモデルでも999ドルする(SIMフリーモデルの場合、日本での価格は税別11万2800円)。これに対し「iPhone 8」は、699ドル(同7万8800円)で手に入る。 中国の国金証券のアナリスト、張斌は投資家向けリポートで、「需要の第一波が満たされた後は高価格がネックとなり、2018年第1四半期は需要が落ちることを市場は懸念している」と書く。iPhone Xの出荷台数は、これまでの予想の3500万台を1000万台下方修正した。



ブルームバーグの記事には、JLウォーレン・キャピタルの22日付けのリポートも紹介されており、2018年第1四半期のiPhone X出荷台数が3000万台から2500万台に引き下げている。需要低下の理由については「高過ぎる価格と、興味を引くイノベーションの欠如」の2点を挙げる。

iPhone Xの部品メーカーも株価を下げている。米CNNによると、ルメンタムとペガトロンの株価が約3%下落したほか、スカイワークスやフィニサーは2%、フォックスコンも1%値を下げた。なかでも下げ幅が大きかったのは、iPhone Xのレンズモジュールを製造している台湾の玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル)で、11%以上下落した。

11月の時点で、アップルのティム・クックCEOはiPhone Xの予約状況について「非常に堅調だ」とCNNにコメントしていた。アップルはこれまで、iPhone Xの販売実績について、正式な数字を発表していない。

一方、フォーブスのイワン・スペンスは12月に入り、iPhone Xの販売不振はアップルにとってそれほど悪い状況というわけではないと書いた。同時に発表した下位モデルiPhone8が予想以上にヒットしたせいだからだという。

だが、iPhone Xから客を奪っているのはアップルのほかの製品ばかりではない。サムスンは、「Galaxy Note 7」の発火騒動から見事に復活を遂げ、強力なライバルとなっている。また、中国のユーザーにとっては、オッポ(OPPO)や華為技術(ファーウェイ)、小米科技(シャオミ)といった国産メーカーも有力な選択肢になっている。