18年のiPhoneは、3機種中2機種に有機ELが採用され、JDIが得意とする液晶ディスプレーは一段と減る見通しだ。  
東入來信博・会長兼最高経営責任者は、これに敏感に反応し、一刻も早く液晶工場を有機EL工場に転換する必要性を訴える。  
ディスプレー工場の立ち上げには投資判断から量産稼働まで最短でも1年はかかるため、ターゲットとなるのは19年モデルのiPhoneで、JDIは18年春にも投資判断をしたい考えだ。
だが、JDIの財務は、ディスプレー工場の巨額投資を許す状況にはない。  12年に日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合して発足したJDIは、初年度と2年目こそ最終黒字だったが、その後は赤字が続き、17年度は4期連続の最終赤字になる見通しだ。


JDIは今期の最終損益予想を公表していないが、売上高が15~25%減少する見込みで、構造改革費用として1700億円を計上する計画だ。足元の営業赤字を勘案すれば、最終赤字は2000億円規模になる可能性がある。  
さらにJDIを苦しめているのが資金繰りだ(図(2))。12年以降、能美工場(石川県)、茂原工場(千葉県)、白山工場(石川県)と相次ぎ1000億~2000億円級の新工場を稼働させたのが負担となり、フリーキャッシュフロー(FCF)の赤字が続いている。
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