太陽光 米国01solar_2米国のトランプ大統領が現地時間22日、米国の製造業を保護するためのセーフガード(緊急輸入制限)を承認したことで、米国に輸入される太陽電池、モジュールに対して初年度30%の追加関税が課されることになった。
米国は太陽電池市場規模が世界2位で、米国輸入市場でシェア45.7%を占める台湾メーカーにとって重要な輸出先のため、高率の関税は打撃が大きい。業界大手の新日光能源科技(ネオソーラーパワー、NSP)は、米国で工場設置を検討すると明らかにした。24日付経済日報などが報じた。
米国は今後4年、輸入される太陽電池と太陽電池モジュールに対して追加関税を課す。税率は初年度が30%で、その後毎年5%ずつ税率を軽減し、4年目に15%となる。年間2.5GW(ギガワット)までの太陽電池は除外する。

 以前、米国が中国製太陽電池に対して貿易救済措置で重税を課した際には、台湾の太陽電池大手の昱晶能源科技(ジンテック・エナジー)、昇陽光電科技(ソーラーテック・エナジー)、太極能源科技(タイナジー・テック)が東南アジアに生産拠点を移転した。今回の米国のセーフガード発動でも、台湾メーカーは海外生産の見直しを迫られそうだ。



ネオソーラーは第3四半期をめどに、ジンテック、ソーラーテックと合併し、新会社「聯合再生能源」を設立する予定だ。ネオソーラーの洪伝献執行長は23日、緊急対策会議で、太陽電池モジュールを優先し、米国工場の設置を検討することに決めたと話した。太陽電池メーカー、元晶太陽能科技(TSEC)は、これまで米国市場は米国子会社に開拓を任せていたが、今後は米国メーカーと提携したり、米国で太陽電池モジュール工場を建設する可能性があると明かした。

 市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)は、影響が大きいのは韓国、東南アジアなどに工場があるメーカーだと指摘。関税の適用対象から除外される2.5GW以下に抑えるために、どう配分するかが当面の課題になると指摘した。今年の太陽電池、モジュール需要に対する影響は大きいが、来年以降の市場は安定を取り戻すと予測した。

 米国の2016年統計によると、台湾からの太陽電池の輸入は全体の45.7%を占めた。台湾の通関の統計によると、米国への太陽電池輸出額は6,518万米ドルだった。

 経済部国際貿易局(国貿局)は、米国の太陽電池に対する重税は不適切なセーフガードで、世界の需給を混乱させ、輸入する米国の川下メーカーや消費者に対して不利な影響を与えるとの認識だ。

 中国の商務部は、セーフガードの乱用だと強く批判した。投資家は、米中の貿易戦争を引き起こし、世界の経済や金融市場を再編する可能性があると懸念している。

 なお、米国は太陽電池の他、韓国などから輸入されている大型の家庭用洗濯機に対しても最高50%の関税を課す。韓国政府は世界貿易機関(WTO)に提訴する意向を表明した。