米アップルは、電池の主要材料であるコバルトを鉱山会社から長期間にわたり直接調達するために交渉している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
 アップルは同社の端末用電池に使われているコバルトの世界最大級のエンドユーザーの一角だが、これまでコバルト調達は電池メーカーに任せていた。

  今回の交渉は、電気自動車(EV)用バッテリー需要の急増でコバルト不足が懸念される中で、アップルが「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」用電池向けにコバルトの十分な確保を目指していることを示している。世界のコバルト生産の約4分の1をスマートフォン向けが占める。



 協議が非公開として匿名を条件に語った関係者の1人によれば、アップルは5年以上にわたり年間数千トンのコバルトを確保できる契約を求めている。別の関係者によると、アップルが最初にコバルトを巡り鉱山会社と協議したのは1年余り前だが、最終的に契約見送りを決定する可能性もあるという。

 アップルの広報担当者はコメントを控えた。グレンコアのアイバン・グラゼンバーグ最高経営責任者(CEO)は昨年12月、コバルトを巡り協議している複数の会社の一つとしてアップルの名前を挙げていたが、それ以上の詳細は明らかにしていなかった。