ios11-iphone-x-super-retina-display-hero減産が報じられている米アップルの最新スマートフォン(スマホ)、「iPhoneX(テン)」の失速が鮮明になっている。当初の見込みと異なり、Xよりも安い「iPhone8」が売れ筋の中核になっているためだ。スマホの全販売台数シェアでも10%を切るなど、「X」の存在感は急速に薄れている。

調査会社BCN(東京・千代田)によると、家電量販店やネットショップにおけるスマホ全体の販売台数のうち、「X」の構成比は1月時点で9.6%だった。

発売直後の11月の21.7%から大きく下がった。 一方で17年発売の「8」と「8 Plus」を合わせると、販売構成比は11月の21.5%から1月には30.2%に増えている。各シリーズの発売日を起点とした累計の販売指数をみると「X」は発売初日を除き「8」と「8 Plus」の合計を下回る状態が続く。



BCNなどが「X」の発売前である10月3日に実施していた調査では、新型iPhoneの購入希望者のうち「X」を買いたいと回答した人の割合は約6割で、「8」や「8 Plus」を上回っていた。「X」を希望する理由としては「機能が良いと思うから」が最も多かった。

しかし発売後は「『X』と比較したうえで、価格の安い『8』を選ぶ人が増えてきた」(神奈川県内の家電量販店店員)。BCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリストは「スマホ市場の中心はXから8に変わった」とみる。

「X」を購入した男性会社員(23)は、高級路線を打ち出した新シリーズの価格や革新性に疑問を呈す。「買ったのは自分が『iPhone信者』だからであって、Xの機能がすごいと感じたからではない」と言い切る。

売り場ではXを含む新型iPhoneのさらなる販売拡大を急ぐ。KDDIは1日から、iPhone契約者向けの端末購入プランを改定した。端末代金を24カ月の分割払いで購入した場合、6カ月の支払い後に次のiPhoneへの機種変更などを条件に残る支払いを免除する。

従来は12カ月の支払い後に免除する形だった。半額以下で端末を購入できるほか、半年後に訪れる次のiPhone商戦でも、利用者が最新のiPhoneに乗り換えやすくした。