ソニーの新体制は、吉田憲一郎氏と十時裕樹氏の2人の代表執行役が担う。  4月1日付で平井一夫社長兼CEO(経営最高責任者)が代表権のない会長に就任し、吉田副社長兼CFO(最高財務責任者)が社長兼CEOに就任する。新社長を支えるCFOには十時氏が就く。
「平井改革」によって業績は立て直したが、その代償は大きかった。ソニーの原点といえる「ものづくり」を放棄したことによって復興が達成されたという、アナリストの厳しい指摘もある。  いわば、外国製品を安く買って「ソニー」というブランドのワッペンを貼って商売するような会社になった。これは、かつて米国の電機メーカーが絶滅前の最後の最後にとった手法と同じだ。


「メーカーとしての土台となるものづくりでは、部品メーカーになるということです。もっとも稼いでいるのはスマートフォン用のカメラ。部品というのは、客の要望を聞いてつくっていくので、クリエイティブではありません。むしろ、納入先の希望価格などコスト計算がシビアになるので、まさに“財務の仕事”なんです」(外資系証券会社のアナリスト)
有機ELで先行していたのに、液晶テレビを主力とすることに方針を変更し、有機EL開発をやめた。ソニー内部では「あんなに早く液晶の価格が下落するなら、有機EL開発をやめなかった」という後悔の念も聞こえる。この時の判断は、「これだけ液晶がバカ売れするなら、液晶で稼いだほうがいい。液晶がダメになってきたら、再び有機ELの開発に戻ればいい」ということだった。
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