ソニーはマレーシアにテレビの研究開発棟を新設した。基幹工場の隣接地に設け、約800人の設計担当者を生産現場の側に配置する。テレビ事業は2015年3月期に黒字転換し、収益が安定している。製造と設計を一体化することで効率的に生産できる新興国モデルなどの開発につなげる。

  新棟は延べ床面積約2万3000平方メートルの5階建てで、1キロメートルほど離れた別の建屋から移った約800人の設計担当者を含む約1300人が働く。温湿度や音響といった試験設備を大幅に増強し、外部機関を使っていた試験も内部でできるようにする。投資額は数億円とみられる。従来の建屋は改装して4月から倉庫として活用する。



 ソニーはスマートフォン(スマホ)用のモバイルバッテリーとつないで停電時に使用できるテレビなど、先進国とは異なる機能を持つ商品も新興国で展開している。テレビ事業では生産機種数が多く生産効率が低下し、収益が悪化した過去がある。設計と製造が密に連携し、量産ラインの中で大きな変更なしに新興国モデルを生産できる体制を実現。効率性と現地対応の両立を目指す。

 ソニーはマレーシアで設計から開発、調達、生産までを一貫して担う。最先端機種の開発などを日本、新興国など普及機種をマレーシアで開発する体制をより明確化する。