売電期間の終了を、固定価格買い取り制度(FIT)に頼らない再生可能エネルギー普及のきっかけにしたい。 FITは2009年に「余剰電力買い取り制度」として始まった。家庭の太陽光パネルが発電し、使い切れなかった電気を10年間に限って固定価格で電力会社が買い取る制度だ。

 太陽光発電協会(東京都港区)によると、09年度末(10年3月末)までの累計設置は約56万件。10年後となる19年度末(20年3月末)にFITが終了する家庭は50万件に達しそうだ。これが関係者から「19年問題」と呼ばれている。



現在の政府方針では、売電期間を終えた余剰電力は無償で電力網に供給される。対価を得るには個々の家庭が電力会社などと交渉し、売り先を見つけなければならない。

まず、この事実を対象家庭に周知する必要があろう。売電が無料になると、発電設備の管理がおろそかになりかねない。今後もFITの期限切れを迎える発電設備が増えていくため、電力網の側も需給調整の負担に備える必要がある。

一方、新電力や電気設備メーカーなどからは、これを『卒FIT』として前向きに捉え、新たな需要創出につなげるべきだという声が聞かれる。

新市場として期待されるのは家庭用の蓄電池システムだ。政府は、余剰電力を売らずに夜間も自宅で使う自家消費が広がると予想している。蓄電池や発電量の予測、充放電制御などのITシステムにも出番がある。

また、自前の発電所を持たない新電力にとって、FIT終了後の太陽光パネルは魅力的な電源だ。設置10年が経過した太陽光発電の多くは投資回収がすんでいる。極めて安い単価で余剰電力を買い取り、再生エネを希望する需要家向けに販売するチャンスとなる。

もともとFITは、再生エネ普及に弾みをつける目的で始まった。いずれは制度そのものが終わる。電力会社も機器メーカーも「19年問題」を機に、FITに頼らない事業モデルの構築に先手を打ちたい。