a3874c91どの商品を買っても大差がない、液晶テレビのコモディティー化(汎用品化)。従来のコモディティー化は総じて、販売価格が下がりテレビメーカーの採算が悪化する要因だった。近年は中核部品である液晶パネルの調達価格が大きく変動し、石油や穀物のような市況品になりつつある。このため船井電機やパナソニックといったテレビメーカーは、変動するパネル相場に合わせ完成品の利ざやを稼ぐ。

コモディティー化の中にあって、新たな対応を迫られている。 「パネル価格に振り回された」。船井電機の船越秀明社長は、2017年をこう振り返る。屋台骨の北米向けテレビ事業は販売価格の下落に加え、パネルの調達価格が変動するあおりを受けて不振だった。



日本と違い、北米などの海外市場は基幹部品であるパネルの価格が下がると、完成品のテレビも連動して下がりやすい。このため、パネルが高騰した時に調達した在庫を持つテレビメーカーは、利益を圧迫される。船井電機は17年から、パネル調達の長期契約に加え、必要な量をその都度手配するスポット調達も活用するようにした。調達に柔軟性を持たせ、パネル相場の変化に備えるためだ。

パナソニックの津賀一宏社長は、「テレビ事業はオペレーション力に尽きる」と話す。国内外にあるテレビ工場などの製品に関わる所要時間をできる限り縮め、在庫を減らす活動を続ける。同社は12―13年に経営危機を招いたテレビ用パネルの自社生産を16年にやめた。ただ「パネルを調達してから、テレビを売ってお金を回収するまでがリスク期間になる」(津賀社長)という別の課題が生じた。

シャープは台湾親会社の鴻海精密工業と、大型パネルを生産する堺ディスプレイプロダクト(堺市堺区)を共同運営。パネルを実質的に内製し、「お金をズボンの右ポケットから左ポケットに移し替えるようなもの」(シャープ幹部)。パネル相場の影響は小さい。

ただ同社のテレビ販売をけん引する中国は、スマートフォンメーカーの小米科技(シャオミ)などがテレビに参入。こうした企業はテレビ用広告配信などが収益源。テレビ自体は採算を度外視した安値攻勢を仕掛ける。シャープ幹部は「対策を考えないと生き残れない」と危機感を持つ。

船井電機は当面、日本市場で稼ぎつつ、電気自動車(EV)の受託生産など多角化を模索する。パナソニックはテレビとレコーダーを連携し、家族写真などを共有するといった新しいサービスを模索する。

「日本のテレビは海外と比べて高価」(船越船井電機社長)。パネル市況がテレビ事業に強く影響するようになれば、日本市場も今以上に「価格破壊の波が来る」(同)可能性がある。