住田光学ガラス(さいたま市)は、すべてフッ化物で構成するガラス「K―FIR100UV」を開発、製品化に成功した。特徴は超低分散性と高い透過率。この特徴を生かして医療用カメラレンズや高解像度マシンビジョンレンズ、UV(紫外線)領域の光学素子、光学フィルターへの応用を医療機器メーカーなどに提案する。 通常のガラス成分である二酸化ケイ素や酸化ホウ素などの酸化物を含まず、すべてフッ化物から成る。それにより超低分散性を表す。

色収差の度合いを示すアッベ数(逆分散率)は101。結晶性フッ化リチウムなど結晶性材料のほかにアッベ数100を超える光学材料は珍しく、これまで100を超えるガラス材料は製品化されていないという。アッベ数が大きいと屈折率分散が小さく、色のにじみが小さいため、色消し性能が期待できる。



また紫外領域から赤外領域までの広い波長範囲で吸収のない高い透過率を示す。反射を含まない透過率は、厚さ10ミリメートルで光の波長250ナノメートル(ナノは10億分の1)から4000ナノメートルまでで99%以上。そのほかRoHS(欧州特定有害物質規制)物質を含まず、紫外線照射による着色や蛍光特性も非常に小さいという特徴もある。

 現在製造できるレンズの最大サイズは直径70ミリメートル、厚さ15ミリメートルで、今後直径100ミリメートル程度の大型化を目指す。一般的なガラスと同様に機械加工性や熱加工性に優れ、精密プレス成形による非球面レンズも製造できる。