LG OLED 2015 Aug有機ELと液晶を製造する韓国のパネル大手が2017年までの好況から一転、苦境に陥っている。サムスン電子が26日発表した18年1~3月期のディスプレー部門の営業利益は前年同期に比べ68%減少した。LGディスプレーは6年ぶりの赤字に転落した。

サムスンは米アップル向け有機ELの誤算、LGは液晶市況の悪化が理由だ。頭打ちのスマートフォン(スマホ)市場が2社の事業業績を直撃した。 サムスンのディスプレー部門は16年4~6月期以来、7四半期ぶりの水準に落ち込んだ。好調な半導体部門がけん引し、全社の連結営業利益は15兆6400億ウォン(約1兆5800億円)と過去最高を更新した。しかし、次の収益柱に期待される、スマホや自動車向けの中小型の有機ELに急ブレーキがかかった。



 パネル市場は液晶と有機ELに大別されるが、サムスンは世界シェアの9割を握る中小型の有機ELが同社のディスプレー部門の売上高の約7割を占める。当初4500万~5000万枚を見込んだアップルのスマホ「iPhoneX」向けの出荷は2000万枚に届かなかったもよう。18年4~6月は約1500万枚まで一段と落ち込むとの見方がある。

 一方、前日25日に発表したLGディスプレーの18年1~3月期の営業損益は980億ウォンの赤字(前年同期は1兆270億ウォンの黒字)。17年12月期通期の営業利益が最高益を更新した前年から収益環境が一変した。パネルの出荷単価が3カ月前と比べて11%下落したことが響いた。

 スマホ向けの液晶が苦戦した。17年に中国のスマホ市場の出荷台数が前年を下回るなど、世界のスマホ市場は頭打ちだ。テレビ向けの液晶も軟調で、韓国では「4~6月期も厳しい環境が続く」(電機大手関係者)との見方が多い。

 収益環境の悪化を受け株価も軟調だ。LG株は昨年7月の高値から3割強下落。サムスン株も昨年11月の高値を約1割下回る水準で推移する。

 両社はパネル事業の戦略見直しが避けられない。LGは18年に計画する9兆ウォンの設備投資について、金相敦(キム・サンドン)最高財務責任者(CFO)が「顧客の動向にあわせて有機ELと液晶それぞれで調整する」と説明した。17年に発表した韓国の有機EL工場に7兆8000億ウォンを投じる計画を見直す可能性がある。

 LGはテレビ向けの大型の有機ELで9割強の世界シェアを握るが、現時点では赤字。大型で世界首位、中小型で同2位の液晶が好調なうちに有機ELを黒字転換させる目算が狂い、金氏は「非常事態だ」と危機感を募らせた。

 サムスンのディスプレー部門は、17年に前年比37%増の13兆5460億ウォンの設備投資を実行した。18年計画は非公表だが、関係者は26日「17年より減らすことになりそう」と語った。

 同社はこのほどLGからテレビ向け液晶パネルの調達に踏み切った。従来は韓国を代表する財閥として互いに対抗意識が強く、LGとの取引を避けてきたが、苦境を前に「プライド」を捨てた。自社生産は有機ELの比重を高める。

 韓国市場では、サムスンの有機ELはアップルの18年モデルへの出荷が始まる7~9月期以降に回復するとの見方が多い。だが、中小型の有機ELを巡っては、競合の中国メーカーが大型投資を表明。回復に手間取れば、中小型の有機ELの牙城を崩されかねない。

 競争激化はパネルメーカーには逆風だが、テレビやスマホメーカーにとっては業績改善の追い風だ。テレビやスマホの価格下落につながり、消費が拡大する可能性があるからだ。