自動車、半導体業界などの活況を受けて、金型企業にも追い風が吹いている。ただ、金型企業の大半が関わる自動車業界には電動化や電装化の波が押し寄せ、大きな変革期を迎えている。その変化を敏感に感じ取る金型企業も活況の波に乗りながら、次の手を練っている。金型各社の取り組みを探った。

 経済産業省の「機械統計」によると、国内の金型生産実績(金額ベース)は2006年に4879億円まで増えたが、リーマン・ショックなどの影響で09年には3159億円まで急落した。その後、4年ほど横ばい状態を続けた後、じわじわと生産が増えて16年には3978億円まで回復した。

 金型メーカーに聞くと、足元の需要はかなり活気を取り戻している。自動車向け金型の設計・試作などを手がけるベントム工業(浜松市中区)の本田大介社長は「金型受注の現状は良い。取引先も増えている。



 “受注産業”の金型だが、全体的に伸びている印象」と好感触をつかんでいる。新日本テック(大阪市鶴見区)の和泉康夫社長も「IoT(モノのインターネット)の普及や、車の電装化の影響で電子部品向けが好調」としており、車向け以外でも景況は上向いているようだ。

 それでも、ベントム工業の本田社長は「例えばダイカストは大型化が進んでおり、設計段階からの対応力を磨かなければならない。足元は堅調だが、電気自動車(EV)化など業界の変革に対しても、しっかり準備したい」と気を引き締める。

 自動車やデジタルカメラ向け金型などを手がける長津製作所(川崎市中原区)も「車向けはまだエンジン車の受注が多い。ただ、今後は自動運転用のカメラやセンサー関連の需要が増えるため、特殊形状の金型に磨きをかけたい」(担当者)と変化に備える。

 自動車のボディーフレーム用金型を製作するナガラ(名古屋市中川区)の早瀬隆士社長は、金型で加工する材料がカギを握るとみる。

 狙うのは板厚を薄くしても剛性を保つことができて、車の軽量化に貢献できる高張力鋼板(ハイテン)だ。早瀬社長は「ハイテンは金型製造も難易度が高くなる。ハイテンをうまく扱えるかどうかが、今後の受注拡大の分岐点になるはず」と見通す。